米大統領の2つの狙い

ビジネスマンが権力を持つと、強い。

 

というのが、トランプ大統領が就任して以降の感想である。

 

通常のビジネスマンであれば、

どれだけ優秀であっても、地政学リスクや、政治要因には逆らえず

自らの狙いが大きな野望であった時、それを達成するためには、社会情勢の理解や、相応の根回しや準備が必要となる。

 

しかし権力があれば、

それら障壁を気にせず、自らの目標に向けて邁進できる。

 

その権力が巨大であれば、なおのこと、

自らの目的を妨げる障害はないに等しい。

 

現在、金融市場において

トランプ大統領が狙っている目標は2つあると思う。

 

ひとつが株高、もうひとつがドル安である。

 

株価は言うまでもなく史上最高値を更新し続け、

 

ドル安においても、その目標は達成されたも同然である。

 

 

米株が史上最高値を更新し続けているにもかかわらず

ドル円は未だ110円すら超えられていない。

 

通常の政治家が大統領であったなら

株高はもちろん、ドル安に誘導できているかは疑問で、

それらを双方達成しているトランプ大統領の手腕は、相当のものであると個人的には思う。

 

それらを踏まえ現在の金融市場を眺めてみると

 

米株は再び高値をうかがっているなかで

ドルは強含んでいる。

 

米株はともかくとして

現在のドル高については、トランプ大統領としては、許容しつづけることはないだろう。

 

本日、109ミドルまで上値をうかがったドル円をみて

またぞろ、各アナライザーが110円だとか112円だとか上値メドをかたりはじめてきたが

 

これ以上のドル高は個人的にはないように思っている。

 

今年大統領選挙を控えるトランプ大統領にとって、株高は再選のアピールとなるとは思うが

 

過度なドル高は、アメリカファーストを謳うトランプ大統領にとってみれば、

自国の輸出産業にPRするうえで

株高以上に重要な要素であるように思う。

 

ドル円で言えば、トランプ大統領としては108円や107円はおろか

105円すらも許容したくない水準であろうと思う。

 

ただ、対中や対イランなど

外交や地政学リスクの悲観と楽観を道具に株高を演出するかぎり

 

株高であってもリスクオフのドル売りになりにくく

株安から株高に振るたびに

ドル高もともについてきてしまう。

 

この方法論を用いている限り

株高にはつねにドル高がついてまわり

トランプ大統領が望むドル安には導きにくい。

 

だからこそ、トランプ大統領FRB批判にときおり走り

現在のドル高を伴わざるをえない株高の状況のなかで、ドル安も達成しようと試みているように思う。

 

今後、トランプ大統領がどのような手をつかって、株高とドル安を演出し続けるのかは想像もできないが

 

本頁で言いたいのは

テクニカル的にドル円にいくら上値余地が見られようとも

ユーロドルに下値余地が見られようとも

 

現行のレンジ水準をはるかに超えるドル円の上昇やユーロドルの下落は、当面生じないように思う、ということである。