ポンドを売る口実は1つ消えた

本日の英経済指標はおおむね良好。

 

一部、予想比マイナスの指標はあったが、全般的に予想比プラスで

これで経済指標の悪化を口実にしたポンド売りの目は絶たれた。

 

残るは現在のポンド売りの最も大きな口実とされている、ジョンソン首相の貿易交渉延期をしない法案を成立させる発言、とかだが、

 

この口実でポンドを売るのはかなり強引であると思っている。

 

まず、貿易交渉は来年いっぱい続き、その期限切れまでにはいまから1年以上ある。

 

その過程で、貿易交渉の期限延期を阻止する法案を通過させたとして、

 

それにより合意なき離脱となる可能性は

この期限延期阻止の法案が効力を持ち、そのまま貿易交渉がまとまらないまま期限を迎える、ということとならないと、合意なき離脱とはならない。

 

合意なき離脱となるパターンは、上記の1パターンのみである。

 

それに対して、合意に至る可能性は以下あまたある。

 

まず、延期防止の法案が通過しても、期限までに交渉がまとまる。

延期防止の法案が通過しない。通過したとしても、後に別の法案が成立するか、もしくはこの法案そのものが廃案となる。

延期防止の法案が成立し、期限を迎えたとしても、なんらかの打開策によって、結局、なんだかなんだ話がまとまる。

 

まあ、適当にパターンを上げたが、期限到達で貿易交渉がまとまらないままブレグジッドが成立するというパターンよりも、そうならないパターンのほうがはるかに多い。

 

そして、ここが重要だが、EU当局も英国当局も、誰一人として合意なき離脱を望んでいない、ということである。

 

そもそも現在のブレグジッドに関しても、何年間も膠着し、メイ首相が退陣までした流れのなか、ジョンソン首相になったとたん、半月かそこらで合意締結した。

 

それ以前のだらだらした流れはなんだっただ…というほどである。

 

いずれにしても、1年も先の話など誰にもわからない話で

そこを材料視してポンドが売られるという流れは不自然な感じしかせず

 

現在のポンドの下落は、東京勢が値幅を取りすぎた上げを作った結果、

そこを利食い場としたり、さらにこの上げ幅のなかで押し目買いする豚を刈るために、ひとときの投機的な売りに転じたグリードどもの売り仕掛け、としか思えない。

 

もちろん、これだけ一方的に売るにはなんらかの口実が必要で、その号砲としてジョンソン首相の強気発言、みたいなものを使って売っていったところ

 

このタイミングを現象説明が得意で後講釈しか脳のないアナライザーどもがしっかりと発見し、その講釈を垂れることで、なんの意識もしていなかった豚どもにさらなる売りを促す結果になったのであろうと思う。

 

今回のポンドの下落で最も罪深いのは

ただただ強欲で売っていく豚たちの売りを正当化するような材料説明をアナライザーどもが行ったことであろうと思う。

 

このことは市場にポンド売りのバイアスをかけ

戻り売りを旺盛にしていく結果となる。

 

売り豚たちは、今後、ポンドがどれだけ上げようが、売りのバイアスから逃れられることはできないだろう。

 

なぜなら、現在、ポンド売りの材料として囃し立てられているネタは、1年先の話であり、その結果は1年先までわからないからだ。

 

がゆえに、売り豚たちは、どれだけ担がれてもポンドを売りあがっていくことになる。

 

そしてある臨界点を超えてポンド買いがあらためて鮮明となったころ、また新たな材料がしれっと提供されるのだ。

 

その材料が語られることろには、

1年後の貿易交渉期限云々なんていう話など、まるでなかったかのようにポンdの外が囃し立てられていることだろう。

 

もしかしたら延期を選択し、みたいな話が出てくるのかもしれない。

 

ただ、いずれにしても延期を視野に入れたとしても、それが交渉成立を100%意味するわけではない。

 

延期を繰り返しても貿易交渉は不成立となる可能性ももちろんあるのだ。

 

しかし、楽観に市場が支配されたときは、その選択肢はまったく考慮されない。

 

そして、ポンドはまた狂ったように上値を追っていく。

 

結局、そんなものである。

 

本日のポンド買いは、適当なところで利食いしたり買いなおしたりを繰り返しているため、またポジション構成が変わっている。

 

ポジション

GBP/USD  L  1.31153  1.30855

GBP/AUD  L  1.91146  1.91433 1.91490  1.91503  1.91660