山高ければ谷深し、というが…では高くない山なのに谷が深い場合は
その谷は人為的に地面を掘りこみ、本来谷であるところ以上に谷を作った、ということである。
金融市場の動きは決して自然現象などではなく、人間の欲と恐怖の総体で
それはときに
一部の大口の思い通りに動かされることもある。
しかし、大局的には人間の欲と恐怖が複合体となれば一部の大口の思惑を超えて、一部の大口どもの意図のままにすべてが動いているわけではない。
そうであるから、大口も損切りすることはあるのだし、もしそうでないなら、一部の大口が無限の富を得るということになる。
その意味では金融市場においても、大きな流れの中では自然現象にも似た、一部の人間だけでは制御し切れない面があるように思う。
その意味で掲題の山谷の話となるが
またもドルカナダの話となる。
ドルカナダは先週末急騰し大き目の値幅を作ったが、それまでの相場の流れから見るとその上げ幅は決して大きすぎるものではない。
それに対して、今週の下げは、先週の上げ幅をすべて打ち消すほどの下げ幅で
戻り幅としては下げすぎたものである。
これは表現してみれば、決して高くない山に対して深すぎる谷が作られた、という状況である。
これは米中貿易交渉の合意期待や、英ブレグジット関連の思惑によって、人間の欲望が肥大化しすぎた結果であり、本来の需給のバランスから明らかに逸脱したものである。
現在は米中第一弾合意期待が高まればドル売り、ブレグジッド問題が進展すればポンド買い、と
ファンダメンタルズ的な客観的な状況は一切無視され
ただただ株買い、債券売り、ドル売り、ポンド買いというオペレーションが繰り返されている。
これがドルカナダにおいてもドル売りで下落する最大にして唯一の原動力となっており、結果としてドルカナダは下値を追ってきたわけだが、
欲豚どもの過剰なまでの強欲が、為替市場全体において行き過ぎたドル売りとなっているはずで
ドルカナダにおいても、行き過ぎたドル売りとなっていることは間違いない。
そこでドルカナダの現在をあらためてみたとき
ドル売りが行き過ぎた相場でありながら、ドルカナダは1.6100はおろか、1.6150すら割り込めていない。
過剰なまでにドル売りをされているはずのドルカナダが1.6150を限界と強いる段階で
ドルカナダの本来的なレートは、
やはり
1.33どころか、1.34、それどころか、さらに高い位置である可能性が高いように思う。
これはドル円にも言えていて
これだけの株高が叫ばれ、米中合意の期待も膨らんだ過剰なドル売り円売りが進む中においても、ドル円は110円すら超えられていない。
その意味で、ドル円もまた、過剰な期待感によって実情からかなりかさ上げされた状況にあるように思う。
そもそもの話、現在、市場が最大のテーマとして見ている米中貿易交渉の第一弾合意、とやらについては
その内容も規模も、市場は実はなんにもわかっていないのである。
そこにあるのは、「合意」というワードがの意味を誇大に解釈したうえでの甘美なる期待感のみである。
そのうえで、今度はドル円を見てみると、ドル円においては、その谷が深くないどころか、浅すぎるくらいなのに、山だけは異様に高い。
その意味では、ドル円においては、いまドルカナダ以上に暴落する可能性が高い通貨ペアであるように思う。