ポンドをあえて買ってみる

勢いの止めないドル買いが、
週末その前日までの8連騰からようやくいったん下落ぎみとはなってはみたものの

まだまだドル買いの意欲は強く、
月曜朝に調子に乗って102.8アッパーまでニワトリショートした東京を担ぎ上げて焼き鳥にする欧州ロンドンの鬼畜道を米国に引き継ぎ、米国もそれにまた祭囃子をほのかに奏で、応援ムードでもう一段ちこっと担ぎ上げて、また103円ミドルを超えてみせた、というのが東京祝日の1日であった。

世界で起こっている様々な事象のうち、
誰もがドル安要素よりもドル高要素ばかりを強調しがちな状況はまだ収まっていない。

俗にいうファンダメンタルズという世界の様々な出来事のうち、
すべてがドル高の事象ばかりではないことは言うまでもないが、
世の専門家たちの多くが完全にドル高にバイアスをかけており、
ドル高材料のみを意欲的に採用し、ドル安材料を過小評価しているのが、現状の雰囲気である。

それはまあ仕方ない、というか、当たり前の話である。

なぜなら、いまがドル高だからである。

他に理由はない。彼らは事実に後付けで、さまざまな理由をつけるのが仕事なのだから、ドル高材料ばかり出るのは当然である。

彼らは、独自の相場観でドル高材料を語っているのではない。いまがドル高なので、ドル高材料をなんでもかんでも引っ張り出してきて、それらが理由でさもドルが、買われてるかのように語っているのである。

順序が全く逆である。

ドルの下落基調がはっきりするまでは、
世のアナライザーはじめとした専門家たちのこのドル高です、びし! の勢いは陰ることはない。

市場ムードが、ドル高であるかぎり
彼らは永遠にドル高の理由ばかりを、どや顔で喧伝しつづけていくのであろう。

世の中のプロと呼ばれる人々は、基本、方向が起こった後にそれを後追いする現象説明しかしないので、ドル高地合いのときにドル高材料以外を囃すはずもなく、彼らがドル安ネタを騒ぎ出すときには、トレンドはとっくにわかりやいくらいに下落トレンドに転換した後である。

要は究極の後出しジャンケンばかりをしているのが彼らなので、決して彼らの見立てからトレード方向など決めない、というのは、一貫して考えている個人的な信念ではある。

それに対して、後出しジャンケンどころか、先出しじゃんけんに挑む世の個人投資家陣は、その先出しギャンブル感に加えて、基本、そのベッドが逆張り志向なため、それでもまだまだドル円のショートを続けている感じがまだまだ見られる。一方のトレンドがあるとき、そのチャレンジはたいがいとても不利な事態となるが、そうした個人投資家が踏み上げられ損切りされるたびに、またアナライザーがどや顔でドル高がアナライズを繰り返す。

そして、そんなムードがいよいよ個人投資家レベルにも浸透し、彼らさえもドル買い、となり、総ドル買いムード、などになったころになっていきなり、天井となったりするのもまた相場だったりするものである。

で、相場が下落トレンドになれば、世のアナライザーは、かつての自身の発言がまったくなかったかのような記憶喪失者も真っ青な厚顔無恥っぷりを全開にして、ドル安をかつてから懸念したかのような心配顔をしながら、今度はドル安の材料ばかりをドヤ顔で引っ張り出してくるのである。

いい加減にしろよ、お前ら…という感じしかしないが、こういう人たちの仕事は今も昔もこういう虚業なのだから今更むかついても仕方はない、ともいえる。

おそらくこんな虚業でもマーケットが生まれて以降、何世代も昔からあったのであろうと思う。いまのアナライザーはそんな虚業の伝承者たちなので、彼らは今日も明日も、100年先も1000年先も、人間の歴史、相場の歴史が続く限り、ずっとこんな感じで生計を営むのであろう。

ただ、彼らのやっていることは競馬場の予想屋と同等どころかそれ以下である。

競馬の予想屋はまがりなりにも未来を予想しているが、こうしたアナライザーどもは現在の結果を見た後で、もっともらしく現在を語っているだけなのだから、何の役にも立たない。

しかし、競馬の予想屋はうさんくさくみられ、こうしたアナライザーどもは、むしろ知的にさえ見られたりするのだから、相場の世界の愚かさに比べれば、場外馬券場の方がはるかに知的な社交場である。

いずれにしても、こちらとしては、もともと本気でドル円を買う気など起こらないが、かといって現在の流れから、ドル円の売りにも躊躇する。

しかしながら、ドルを買える者がいるということは、ドルを売る者もいるからこそ流動性が保てるわけで、
現在の流れにあってもドル安にベットしている者もいるということである。

もしも世界がドル高一択の出来事しかなく、皆がドルを買う志向しかないならば、
市場の流動性は失われ、ドルの売り手不在のなか
ドルはレートの刻みも100pipsどころか500pips、1000pips単位の荒っぽい勢いでどこまでも上昇していくだろう。
ドル円で言えば、一切の押しも作らず、200円、500円、1000円、はたまた1万円と、一直線に上り続け
円安を潜在的に切望する(輸入企業などもいるため公言はできない)、
政府などがむしろ絶望し、国民生活が完全に破壊されるほどに
円安が加速し続けるはずである。

それが起こらないのは、どんなドル高時でもドル安時でも、それに相対する勢力がいるからで、

だからこそ、市場はある一定のトレンドが発生したとしても、それがど垂直の上昇や下落まではいかず、押し目や戻りが発生するということである。

そんななか、市場の流動性を破壊するほどに垂直に等しい下落を見せたのが、
先週のポンドである。

もちろん、EU離脱などのリスク要因がポンドの下落を後押ししてはいるのだろうが、

だとしても、今回の暴落はほとんどの人が予想していなかったことだろう。

6月の英国離脱のサプライズで1日かけて暴落したのに等しい値幅を
東京時間早朝にほんの数分で突き進んだのだから、今回の下落は尋常ではない。

分速レベルで言えば、6月の下落よりも凄まじい速度と値幅であるとも言える。

ポンドは今後も下落を続ける。

そんな恐怖をまだ多くの人が覚えているのかもしれない。

しかし、私はポンドは、ここで一旦は大底をつけたのではないか、と思いはじめている。

皆がリスクを警戒している時、そのリスク要因は大抵顕在化せず、暴落など起こらないことも多い。

今回のポンドのここまでの下落は、誰も予想してなかったがゆえに起こったといえ、いま最大級にポンドに警戒の目が向いてしまったいま、
ポンドが再度暴落する、という可能性は低くなっていると思う。

暴落は予想しないところから起こるのが常で、もし次に暴落が起こるとすれば、むしろ皆が油断しているドルなど、他の通貨ではないかと思っている。

もちろん、これはドルが暴落する、という意味ではなく、つぎに暴落が起こるとすれば、という話である。

暴落する場合の大抵のパターンは、すでに下落の兆候が起こっていて、これ以上落ちるのか…と皆がなんとなく予感しはじめる、といった予兆を大抵は経由している。

しかし、ここまで落ちてるのだから、落ちるとしても、そろそろ大底では…と思ったあたりから一気に暴落する、というのが、だいたいのパターンである。

その意味で、いまそれに該当する通貨や株や商品は見当たりにくく、当分は、どれも暴落するには、まだ早い(?)とも思える。

ドルのここのところの堅調さは言うまでもなく、

株もまだ下落を再開しているムードはなく、

中国株などの新興国株もそれほど警戒されるほどの暴落のトリガーとなりそうな、初動の下落ムードもいまはない。

原油はむしろ上昇。
あえて言えばゴールドが下落気味であるが、ゴールドが暴落する、という事態はなんだか想像しがたい。
だからこそ金が、暴落する? とも言えるかもしれないが、金が暴落するような世界がいまの歪んだ世界経済のあり方からは、ほぼないように思える。だかこそ、暴落? …というのは堂々巡りなので、もうやめる。

そしてポンドであるが、ポンドはすでに暴落を終えた。
暴落からの暴落。
6月に暴落し、先週に暴落、二度あることは三度ある、と、また暴落するか…。

となると、個人的には、いまのところは、ない、と考えている。

その理由は今回のポンドの暴落が東京時間早朝のかなりイレギュラーな事態、
だったことにある。
誤発注だとか、当局が調査するとか、現在の暴落は、かなり誰もが異例な感情を抱いており、通貨マフィアもびっくりの、大口の投資家たちにとっては、予定調和を乱し、ぬけがけされたような、怒りさえ感じさせる。

振り返れば、ドル円の市場最安値をつけたのも、こういったようなタイミングでつけられ、以後、その安値は現在に至るまで更新されていない。

以上から、ポンドはすでに大底をつけている可能性がなくはない。

ではもう買いはじめていいのか、というと、週末の暴落の底は現在の値段からすればまだかなり遠く、
もう一度下を試されれば、現在のレート1.23ミドルからでも、1.14あたりの大底(?)まで届かないとしても、900pips以上も距離があり、かなり、下幅に距離がある。

では、どうするか…?

となると、こちらとしては、直近安値に損切りを置きつつ、とりあえずロングしてみる、という感じで行くことにした。

で、その第一弾を今朝方からやってみることにした。

まずは、1.23ミドルから買いを入れ、損切りは1.234あたりに置いておいた。

ドル高のいまの流れのなか、ポンドドルを買うということは、ドル売りということになるのだが、ユーロドルならともかく、いまのポンドはドル高とかドル安とかそういう次元の流れからは逸脱していると思う。

ドル高がどうとか以前に、先週の暴落で、もはや極限までにドル高が進んでおり、まだまだドル高だったとしても、ポンドにおいては、それももうかなり先取り(?)しすぎたともいえ、もういいのでは? とも思ってしまう。

相場の常はもういいのでは、というとこらから、さらにいく! とのもテンプレだったりもするが、今回の場合は、それでも、もういいのでは! と、思ってしまうのが、いまの感覚である。

いずれにしても、今回のロングは完全な打診ロングなので、これが直近安値以下の損切りで切られ、あっさり破られれば、また同じチャンスを探りながら、買い下がりの目でポンドは見ていく、というのが、当面の対ポンドについての戦略である。

基本、今後のポンドはデイトレレベルで戦う気はもうなく(もともとあまりないが…)、
すべてスイング方向でみていくつもりである。

なので、少々利が乗っても、基本、利食いするつもりはないし、もしも戻りが大きくなるようなことがあれば、むしろ買い増ししていくつもりである。

上のターゲットはどこか、ということになるが、
とりあえず、現状1.34ミドルあたりから、1.28アンダーのレンジを破って下に行ったわけなので、そのレンジの下限1.28アンダーまで、それを抜ければレンジの上限…といった感じか。

いまポンドは悪材料満載で、そんな戻るのか、というのは、ともかく、
戻るとすれば、ファンダメンタルズは、後付けでまたどうとでも、都合よい内容は現れてくれるし、
世のアナライザーが、ポンド高が起こりうるというような、もっともらしい内容を次々繰り出してくれるだろう。

そう…いまのドル高のように、である。

□ポジション
GBP/USD L 1.23518