調子に乗った円売りの裏で、じんわりと原油安

日銀のサプライズによって
大きく値を上げ、かつ下値も堅そうなドル円

しかしその裏で、じんわりと原油安が進んでいる。

ドルを買って円を売る。

いずれにしても、我が国の円売り、
着物トレーダー(まだ生存しているのかはともかく…)
にとっては、うはうはのポジショニングチャンスである。

楽しい楽しいドル円買い、であるが、

ただ、かつてのドル円買いや、クロス円買いは
ただ、脊髄反射の自国の価値毀損、を狙ってのオペレーションではない。

当時はメリットがあった。

スワップ狙いである。

かつては日本以外のあらゆる国々が金利がそこそこで
ゼロ金利に等しい日本を売れば、ちゃりんちゃりんとスワップを狙えた。

しかし現在、インフレに悩む、ブラジルのような一部のハイリスク国家はのぞき
先進各国はおおむね微々たる金利である。

微々たる金利、ということは、その国々が緩和的な志向にあり
決して楽観できる状況ではない。

そんな通貨を買って、円を売る。

そうしたオペレーションには、かつてのスワップ狙いのような意味はほとんどない。
リスクの方が圧倒的に多いのである。

しかし円も低金利、かつ複雑な話は置いておいて
マイナス金利、というような措置を本日取った。

これは日本がまずいわけではない。
日本は、もともと金利を上げることなどできない。
金利上昇からの国債利回りが上昇すれば日本はエンドである。

日本はこういう構造的な問題をもっているがゆえ
そもそも金利を上げないことが望ましく、、
現在のマイナス金利というのは、むしろ好都合なくらいである。

日本はよそにくらべて、特段、経済的なマイナス要因はあまりない。
あるのは政府をはじめとした当局が行ってきた放漫経営の財政リスクくらいである。

日本経済の本質的な力においては、
そもそも金利を下げたり、緩和政策を採る意味もあまりない。
これをしなければならない理由は、もうほとんどギリシャと同じ理由である。

日銀の今の金融政策は
政府のためだけに、ただ単に円の価値を毀損したいだけである。

このことで、また投資など行わない、
我が国の一般庶民の多くが負担や苦労をしいられる…。
卓上でへりくつ並べて「きんゆうせいさく♪」に戯れる
エリートどもにはわからないことかもしれないが、
そんなしわ寄せはすべて一般の日本国民に向けられるのである。

自国通貨の価値を毀損したいのは、日本だけではない。

日本のこうした金融政策を、他国がはいそうですか、
と受け入れるほど、世界の金融市場はあまくない。

日本は世界で最もお人好しで、他国の犠牲を一手に引き受けるのが習わしである。

現在の世界は、自国通貨を安くしたくて仕方ない。
これは、金利を上げたドルとて同じである。

あらゆる国が自国通貨安を志向したとして、それを一手に引き受ける国はどこか。

日本しかいない。

今年がどうとか、将来がどうとかともかく、
世界の潮流がそのようなものであるかぎり、

ドル円は下落の一択しかない。