しぶといユーロドル…

米株価が続落で引けても
いっこうに下を覗かないユーロドル。

現在の財政の崖、というテーマは
米国のローカルテーマとしてとらえられているようだ。
つまりは、米国不安でドル安という流れである。

米国の問題であっても、グローバルなテーマとされていれば
世界的に株安・ドル買いとなるところだが
そうはならない。

米株自体そもそもそれほど下をまだ本格的に追わないので
世界の株式市場も、その影響が限定的なのだろう。

結果として、
米株がここ2日軟調ななかで
ドル安という通常ではあまりない状況を作り
スイスフランの事柄などもあり、ユーロスイスの押し上げなども相まって、
ユーロを押し上げるエネルギーと化している。

それに対し、かねてからのユーロの問題はグローバルテーマとして
とらえられているようで、
現在、その問題が小康状態にあり、楽観が強まっていることから
ユーロドルの地合いはさらに上への希求がかかりやすい。

テクニカル的にも強気のフォームを作っているので
なおさら、ユーロの目線は必然、上に向きやすい。

欧州各国各国国債利回りの低下や、スペインやギリシャの問題など
あらゆる要素がユーロ買いを後押しする材料とされ、
米国の事情を無視する(というかドル安材料として)
ユーロは上値を追っている。

ドル円は一頃の勢いはなりを潜め
ただ、ドル安相場という流れに身を任せている。

ただ、現在までの上昇を牽引するユーロの反転
1.27アンダー1.26代後半のボトムが発生したのは、
なにかの材料から突発的に生じたわけではない。

テクニカル的な売られすぎのゾーンのなか、株価の反転を景気として
ショートカバーが起こり、その後、ロスカットを何度も巻き込みながら
上昇をしているうちに、やがて短期移動平均線を上回り
200日移動平均線も再び上抜き
テクニカル的に強きの地合いになったころに
後付けで、いまの材料が囃し立てられ始めたのである。

今回の反転は、テクニカル的な部分からはじまったと思っている。

ただ、昨日のポンドドルの話ではないが
ユーロドルについて、200日移動平均線を上回っている
という事態は、私も含めて売り方にとっては、かなりのアゲインストである。

直下1.205あたりを底とするダブルボトムから算出すれば
現在、200日移動平均線を挟んで、ターゲットは
低く見積もって、1.34
伸びた場合は、1.36
今回の1.26押しから1.318をもしも抜き
そこすらもダブルボトムと見なせば
最大で、1.4あたりまで上昇する
というテクニカル的な見立てが立てられる。

現在のチャートフォームはテクニカル的に見て、完全に強き相場であり
だから、皆、現在、高値圏と思われる1.3アッパーであっても
強気に買いに入ってくる。

レンジとしてみれば、1.3は高値圏だが
トレンドフォローとしてみれば
ユーロは今後の先高感を見据えれば
まだまだ上を目指せる、という具合だ。

ここまでの材料が揃ってしまえば
私とて、普通なら、ユーロの強気に転じる。

ただ、私はいまも相場観は弱気である。

今回の反発上昇で、異例な点がひとつある。

今回、ユーロドルが続伸し、1.318を抜いてくれば
1.205でのダブルボトムについてで、またもダブルボトムが完成するが
前回の例も、今回起こるかもしれない例も

直近の安値の方が、その前の安値よりも下回った形で
ダブルボトムを作る、ということになる。

ダブルボトムは通常、下値を切り上げ気味で2つの底を作るものだが
今回のユーロドルに関して、またも1.318を上抜くなら
下値を切り下げた上でダブルボトムを、
2度も作り上げる、ということになる。

通常の通貨では無論そうだが、
欺瞞に充ち満ちたユーロであっても
これまでのユーロ上昇の過程において、
下値を切り下げながらのダブルボトムを連続させる
という例は、ほとんどない。

さらに、久しぶりに東京勢について述べるが

昨日、米株がマイナスで下げた後
まさに東京時間あたりから、グローベックスが上昇をはじめて
リスク選好を選択している。

つまり、米時間の引けに対しての逆張りである。

逆張りは、東京勢の十八番で、そしてそれを欧州以降刈られるの定番である。

東京勢のやばさは、年を追うごとに際立ってきていて

かつては、相場の天底を東京が作ることは決してなかったが、
最近は、それが起こりさえしてきている。

つまり、東京勢は、いまや最大の高値掴みや安値掴み
をさせられるほどに、カモとかしているのである。

これは、円ベースの通貨では顕著だったが
最近は、ドルストレートでもそういう傾向が見え始めている。

高値掴みや安値掴み、ということは
高値更新や安値更新の順張りを東京がかけているということである。

そこに格好のカウンターをあてられ沈められていくことも
最近、欧米勢が覚えてきた、東京刈りの一種である。

無論、初動から順張るというパワーは東京にはない。
初動のブレイクは、あちらの時間では夜半や深夜となる欧米勢が
かけてくる。
そこに提灯で東京勢が逆指値や成行で
新規買いや新規売りをかけていく。
その後、即座にカウンターをかける。
東京勢は欧米ほどの機動力はないので、
その押しを一瞬の押しとみて、ポジションはホールド。

欧州時間につれて下落が進んだ場合
よりにもよって、そこからさらに押し目買いと見なして
また買いを入れる。
しかし続落…そして切られる。

という具合である。

今回も同様の事態になるかはわからないが
今朝方のユーロドルも、そうした典型的な動きをみせている。

東京時間に前日高値を更新で、
直近の最高値をつけている。

しかし、現在、ユーロドルは、1時間足レベルで見て
3度高値を更新しているが、
たびごとにオシレーターの数値は下がり
現在、ダイバージェンスを発生させている。

そして、高値を更新するたびに
時間足レベルで、長くはないがそこそこの上ヒゲを作っている。

高値を更新するたびに、新規の逆張り(現在は)の売りをかけている
密かな勢力がいる、ということである。

現在のトレンドが継続するなら、無論、
RSIやストキャス、W%レンジなどのオシレーターなど
ほとんど意味をなさないが、
もしも、現在がまたも中期的な大きめなレンジとみなすならば
いまは相当の過熱感のある高値のピークである。

ここで、もしも下落が再開されたら
この三度の高値更新時のたびに、逆向かっていた勢力(私もそうだが)
ほぼ天井のあたりから、ポジションを保有していることになる。

これはずっと皮算用の話だが
その下落がついに示現したとしても
アナライザーたちは、しばらくは、またもその下落を調整だとか
なんだとか、強気相場を転換しない無責任発言を繰り返すだろう。

そして、重要な節目を割れて、弱気地合いが完全に見えたとき
はじめて、ファンダメンタルズの要因を引っ張り出し
さも、弱気相場が当たり前だった、
かのような言説をまたも語り出すのである。

こういうのを何年、何十年と繰り返しているのが
よのアナリストたちのほとんどすべてである。

相場が天底をつける転換点というのは、
いつもテクニカル的な要因から発生する。
ファンダメンタルズは大抵が後追いである。

ある材料が突発的に出てきて、いきなり相場が急角度でひねる
ということは、実はそれほど多くはない。

ギリシャショックにしても、サブプライムにしても
発生が顕著になったときには、すでに相場は折り返している。

ただ、なんの材料もなく、
相場が転換すると思うまでに、私はテクニカル信奉者ではない。

厳密に言えば、相場が転換するときには
その後に発生する問題の兆しのようなものも実は発生している。

その兆しがなんであるか、を確かめる術はない。
結果論として、それが兆しになった、とわかるだけである。

いまの私も、後でそれが兆しであったとされるものがなにか
いまはさっぱりわからない。
いくつか思うところはあるが、
それをいま述べて、当たっても外れても
それは偶然に過ぎないがゆえ、ここで挙げるつもりはない。

天底を掴むためには、直近高値に損切りを置き
何度も何度も切られながら、それでも打診していくしかない。

天底がその時点でわかりやすいファンダメンタルズをきっかけとして
発生することは、ほとんどないがゆえに、
天底を掴むためには切られ続けながらも、逆張りするしかないのである。