クズどもの宴、そして第2のカナリアは鳴く。

安すぎる、と思っているときには売り続け
高すぎる、と思っているときは買い続ける。

相場とはそんなものだが、
今回の例は、ポンドドルのことである。

ポンドドルは、先々週あたりの米株の下落にあたり、
最も投機的な攻撃にさらされた通貨ペアだと思う。

ユーロポンドでの買いを走らせるという相乗効果で
ポンドドルは押しに押された。

私は買い下がっていたが、結局、途中で諦め投げた。

理由は、200日移動平均線終値で割り込んだからである。

これを引っかけとして投機の思惑通りであったのか
結果、株が反転したからか
そこを底にして、ポンドは上昇を開始し
いまに至る。

現在、前日高値も越えてきて直近の安値からは最高高値を更新しつつあるが、
米株は昨日の高値から下落に転じており、
グローベックスはいま昨日よりも安いレートにいる。

ポンドドルの高値更新の買いは
その一端の反発を契機に加速しているが、

これは、ダウが再び高値を追うまでに上昇すれば
それを織り込んでの先行しての上昇ということになるが、

ダウが本日も続落に転じれば
先走りの投機買いだった、ということになる。
まあ、売りも買いも、そもそも投機売りであり投機買いではあるが…。

上がるとなったら、とにかく買い続ける。
下がるとなったら、とにかく売り続ける。

こういう極端な地合いが
時に、本来回避できた国家の破綻や
不必要な財政出動を要する事態を引き起こす。

さらに場合によっては、
本来は、崩壊、消滅しなければならない者が
生きながらえたり、むしろ、まやかしの復活を経たりもする。

それに荷担する、投機筋は、すごく荒っぽい言い方をすれば、
単細胞きわまりない、人間のクズである。
まあ、クズといういうとゴミなの、単細胞以下となり
そこまでは言い過ぎかも知れないが
まあ、まっとうな人間ではない、ということは言いたい。

ただ、とりあえず、本稿の論を進める意味で、
今回はクズで進めておく。

とにかく、こういう行為に荷担している者たちは、
人間のクズであり、
さらにいえば、相場のピークに沸いて出る提灯の投機などは
もう絶望的にクズである。

テクニカルやセンチメンタルのみで突き進むそんなクズどもであるが
世のテクニカルアナリストたちの多数も同様、
こちらはプレイヤーではないながら、
後出しじゃんけんのプロフェッショナルとして、
別のクズとして、プレイヤーたるクズの流れを補填する。

クズが売りまくっている段になって、
途端に、英国の量的緩和が問題だとか、
先行き不安だとか、クズのポジションをフォローするような分析を出しはじめる。

相場が上がろうと下がると、一貫してそれを主張してるなら
まだアナリストとして気概もあるが、
このクズたちは、相場が反転すると、
やっぱりこうだったとか、このサポートを抜けたからどうとか
そうしたそれまでの主張をひっくり返したことを
さも呼吸するようなナチュラルに、語り出す。
厚顔無恥とはこのことである。

実際、少し前とは打って変わり
いまでは、ポンドの不安を煽るような分析は完全になりを潜めた。

ただ、私は今回のポンドの投げは、もうポンドの復活はない、
と考えたからで、いまもそれは変わっていない。

最大の根拠は、1日であったとしても、
終値で200日移動平均線を割り込んでしまったからだ。

いわゆるトレンド発生時には
200日線がサポートとなる、のようなことを言われることがある。

もちろん、それはある意味で理にかなっているとわたしも思っているが、それは、
200日線に触れずに反転した場合に、
強いサポートとして効果を発揮するように思う。

200日線をクロスしたり、下に割り込んだとなれば話は別である。

そこからまた反転したとしても買いの力はいったん失われている。
その多くは、やがて再び、一端横切った、200日線に近づいていくのだ。

もちろん、そのまま上昇を続ける場合はある。
その場合は、それは、これまでの高値を完全に超える強い勢いとなる。

その意味で、ポンドドルの今回の200日移動平均線下割れががダマシだった場合
ポンドドルは、1.63を超えていかなければならない。

200日移動平均線を一端下回るということは、
次にそれを抜いたときには、そこまでのパワーが必要となるのが普通だ。

200日移動平均線を皆が重視し、それほどの意味をもつわけは
中長期的なポジションが、200日線を参考にし、それを境に動いているからだ。

200日移動平均線は、ほとんどの投資家が参考にしていると思う。

200日線を割り込めば、まずその線を境にして、買い方と売り方の勢力は入れ替わる。
過去200営業日の平均レートから、
ざっくりいって、200日線より上のレートでの売り方は含み益となり、
買い方が含み損になる。
ここで、売り方で利食いをするものもいるかもしれないが、
買い方で損切りをする者もいる。

だとしても、相場の要諦がトレンドフォローであるならば
売り方のポジション減よりも買い方のポジション減の方が大きい。

さらに、そこに新規の売りが入ってくる。
逆張りの買いも入ってこようが
同じ理屈で、トレンドフォロー云々を考慮したとき
売りの方が、買いのボリュームより大きくなる。

それが今一度上に跳ねたら、同じようなオペレーションが起こるか
となると、同じようにはならないと思う。

なぜなら、再び、200日線を上抜いてきて
新規の売りを入れはじめた中期保有者が即座に損切りするか
となると、する者も多いが、しない者の方が多いと思うからだ。

そんな簡単にポジションをいったりきたりさせるのは、
もはや中期保有者ではない。
彼らは一端ポジションを取れば、損切り幅は大きくなろう。
いまでいえば、直近の高値1.617あたりがひとつの節目となる。
ここさえ超えてくれば、さすがにポジションを閉じるだろうが
普通でもそこくらいまでは、損切りを置いてもおかしくはない。

方や、200日線を再び上抜いてきたとしても
中期の新規の買い方は入りにくい。
先の中期、売りのオペレーションから見れば
たとえ、200日移動平均線を再び上回ったとしても
中期的にみて、そこから買いに入る根拠がないからだ。

ただ、短期の場合は違う。
200日線の上下で行ったり来たりポジションをひっくり返すだろうし
現在の上昇過程においても
プチ中期的な意味では、直近の1.5827を背に置いて買い向かうだろう。

日々の相場はこうした短期の投機筋や
トレンドが伸びるたびに沸いてくる提灯たちによって
加速されていくが

少し前の下落では、その加速が、やがては
中期投機のポジショニングに影響を与えるまでになった。

いまはその逆で上昇に投機が走り、またぞろ提灯がたかっているが、
中期ポジションへ影響を与えるまでにはまだ到達していない。

もちろん、
今回、中期の売り方に影響を与える1.617レベルにまで
再び近づきつつあるが、
それは、米株などが完全に復調していく
という思惑が重要な要素となっていると思う。

私は、米株が復調するとは思っていない。
その意味で、ポンドドルがいま再び、中期の弱気イメージを
中期の強気イメージに変えようとすることは勇み足であると思う。

中期の弱気イメージが覆されない限りにおいて
現在のレートは高すぎる、ということになる。

よって、私はいまもポンドドルは順張りをし続けている。
逆張りではない。
私は中期トレンドはまだ下だと思っているので
短期的には逆張りに見えても、順張りのつもりである。

ただ、現在、クズたちはまだ諦めていない。
思惑や一過性のセンチメントの方向にただ乗り続ける行為が
クズたちのメゾンデートルである。

ただ、彼らは中期的には逆張りをしている。
クズとは、中期的に逆張り
彼らにしてみれば、トレンドフォロー、を好む者たちを言う。

私はなんでもかんでもトレンドに乗ればトレンドフォローだとか
順張りだとかは思わない。

もちろん、近視眼的にチャートを見れば
順張りでありトレンドフォローであるのかもしれないが、
彼らが行っているのは、私からすれば強烈な逆張りである。

現在の円売りもドル売りも、私はそのようにみなしている。

その意味で、今の段階で、ドルを売ったり円を売ったりする行為を
自らで順張りだと言っているのは、
私からすると欺瞞である。

昨夜は、ISM発表前に、突如、株が下がりだしてきた。
事前に情報を得ている連中(と勝手に思っている)
利食いしたのだと思ったところ
結局結果はやっぱり下ぶれで、株はそのまま下落。

これははまた妄想的な陰謀論となるが
ISMの結果を事前に知っていた連中は
さも、結果が好感的なふりを見せて買い上がり、皆を囃して
直前になって売り逃げた、ようなイメージである。

しかし、結果にかかわらず上がり続けたのがユーロドル!である。

為替のトレーダーは、株のトレーダーとは違って
別の側面を見ていたのかも知れないが、

結果、ユーロクロスも概ね堅調。

終いには、深夜1時に向かうにつれて強引なユーロ買いが発生し、
その日の日通し高値すら更新。

ここまで株価を無視されてしまっては、
こちらとしてはどうしようもなかった。

ユーロクロスは、
特にユーロ豪ドルの上げのすごさも併せ、概ね上昇した。

先週から引き継いだ仕掛けから以降、
いよいよ投機的なユーロ全面高の様相である。

こういうことがあるから、投機も買い仕掛けがやめられないのだろう。

昨夜のフィニッシュは、
欧州時間に割られたアップトレンドラインを、
日通し高値を数pipsでも抜き去ることで、再びアップトレンドラインを作り直し撤収。
その仕掛けが本日の高値追いでの効果を発揮し案の定、昨日高値をユーロドルは抜いてきた。

ユーロの上昇に反して、米株は下落ぎみのまま引けたが、
チャートを見ると、昨日から本日までそれはほとんど無視しているようだった。
昨夜の株安なんて、V字回復に向けての
ちょっとした調整と言わんばかりである。

その証拠に、本日、ユーロドルが昨日高値を抜いたのは、
一端のグローベックスの反発が起こってからで、
それでも、グローベックスは昨日のレートからすれば低いところにあるにもかかわらず、
そこに一気に過剰反応し
ユーロドルの方は前日高値を更新するまでのはしゃぎぷりを見せてくれた。

個人的には、現在の株の下落は、
ちょっとした調整♪というようなお気楽なものには見えない。

ここまで短期アップトレンドであった、という意味に捕らえ
それを打ち消して、現時点では短期ダウントレンドに入っており
その流れが進めば、もっと大きなタイムフレームで
下げトレンドに回帰することを、示唆しているように見える。

ただ、ドル売りの筋は、それを、あくまでも、単なる調整と見なし
先行して、株が戻るのを待つかのような
ドル売りを一気に進めておいた、という雰囲気である。

昨日の朝方11時頃のユーロドルの火柱は、やはり欧米筋仕業で
パワープレイの第2波を欧州で、第3波を米国で展開したような感じだ。

東京勢が東京時間にあそこまでの値動きを作ることはできない。

東京刈りはとにかくお預けで
東京時間でもなんでも、順張りで粉砕する、という勢いである。
東京勢がちまちま逆張りさせる暇は、2時間くらいは与えたが
その分を刈るくらいで、いい、くらいに
上を求める魅力があったのだろう。

ユーロドルの売りによって
ポンドドルなど、その他ドルストレートも一様に押し上げられている。

その流れで、ポンドドルはまたもいくつか切られた…。

しかし、この為替限定?的なリスク選好モードの影で
密かにドルスイスが、短期ダウントレンドラインを超えてきた。

以前、ドルカナダを米国楽観終了を察知する“カナリア”に見立てていたが
実は、ドルスイスの方がその感応度は高い。

もともとすでに0.924あたりでポジションを持っていたところ
0.927アンダーで逆指値の買いを入れていたのが、かかっていた。

とはいえ、いまのドルスイスの上昇は、
スイスの銀行がマイナス金利を採用したということによる
欧州の主にユーロスイスの買いによってもたらされている
売りからのものであろう。

これが、ユーロが下がるどころか上値追い
という状況を生んでいるのだが、

いまの流れはやや円買いで
ユーロスイスの流れからスイス売りユーロ買いとなり
円買いからの流れでドル売りとなり、

…ちょっとややこしいが、

ユーロ>円>ドル>スイス

のような状況がいまである。

がゆえに、ユーロ円は下がらずむしろやや上がり
ユーロドルがはしゃぐ。

もっとも加重がかかっているのは、実はユーロスイスである。

まあ、結果論となるが、スイスが押し下げられドルが上がる、
ということで、

ドルスイスが浮上してきた。

ドルスイスはある意味で、世界の動勢の指標であり、
ドルスイスの浮上は、後に来るリスク回避のシグナルとも見れる。

いまユーロドルは
ユーロスイスの上昇の波に乗って
間接的に上昇しているように、私は見ている。

ユーロ危機など何処吹く風で
楽観に楽観を重ねて、ユーロを買い進める様は
サブプライムなどの金融危機など何処吹く風で、
楽観に楽観を重ねて、株を買い進める様と
醜い者同士の相似形である。

欧米ともどっちもどっちで、
ユーロもドルも、やがて地の底まで落ちていくだろうが

まず株価が下落し、
次に、ようやくユーロの虚飾がやがて剥がれよう。

そのピークがいまかどうかはわからないが、
まずは、第2のカナリヤが静かに鳴いた。