本日から12月相場。12月ほとんど負けなしの米株。そんななか注目は、やはり引き続きドル・カナダドル。

いよいよ本日から12月の相場に突入。

今年バジェットを稼いだ“勝ち組”たちは、
徐々にクリスマス休暇に向けて、相場から離れ
残った、“負け組”メインの参加者で
負けを取り返そうとする、
無理をかけぎみなポジショニングが繰り替えさえ
流動性があがりやすい、
負け組たちの間での今年最後のゼロサムゲーム投機勝負?
がはじまりやすい月である。

12月はすでに11月の相場の方向でトレンドが決してしまっている場合が多く
その範囲内のみで、残りの参加者はパイを取り合う。

現時点での地合いは、リスク選好ぎみで方向が求められている。

となると、上下動しながらも、結局、円安ドル安
という流れに終始する可能性が高い、
というのが、
例年的なアノマニー的相場から導き出されてしまう結論である…。

米株は結局、9月に戻り天井づけを思わせ
10月にがっつり月足陰線を作ってから一転、
突如、11月の中途から上昇に転じ、
結果としては、悩みを感じさせる十字線ぎみとはなりながらも、
11月月足は陽線で終えてしまった。

今年最後の12月といえども、
やはり米国株の状況は気にせざるをえないが

11月の米株については、いま強い戻りをためしつつあるも
月足陽線の結果からは、気迷い感を感じさせ
11月に上昇相場への完全回帰、
というのを決定づけた、とは言いがたい。

米株は、現在、どちらにいくか神経質な状況となっている。

ただ、実はひとつ米株の月足について
個人的に不気味に思っている傾向がある。

それは、リーンショック以降
12月の米株の月足が陰線で終わったことは、
一度もない、ということだ。

このアノマニーのさらなる不気味さは、
リーマンショックの年2008年でさえも
9月以降、下落が連打しながらも、
12月に関しては、
十字線に近い状況ながら、なんと陽線をつけているのだ。

そうなれば、アノマリーからいえば、
米株が今月月足陰線を作る可能性はかなり低く
今月も続伸する、という可能性が増してくる。

それは、米株さえ大きく崩れなければ、
為替についてはリスク選好が進みやすくなる
ということも意味する。

年内ドル円85円到達とか
円安相場をドヤ顔で、分析するアナリスト諸氏の見立ては
この点から見ても、
俄然、説得力を持ちつづける状況とも言えよう。

ただし、週足レベルでいえば、
この米株の12月のアノマリーとて
さすがに全勝というわけではない。

12月の第一週から第四週まで
一本調子ですべてを陽線で終えた年というのも
2008年以降で見ても、さすがに一度もない。

となると、いくら世間がいま米株がV字回復の途上にある
とはしゃいだところで
12月全週全勝ということは
アノマリーから見ると可能性は低い。

いま、米株の戻りに比して
円ベースでの通貨が上昇しすぎている。

すでにいくつかのレジスタンスを突き破っているがゆえに
米株が押しても、高いレンジのところで踏ん張り
ふたたび上昇すると、ドル円、クロス円とも
新たな上のレンジに移行する
ということを繰り返している。

この上昇の循環が崩れる可能性があるとすれば
12月でダウが下がった週に
円ベースで円高がどれだけ進み
対円通貨がどれだけレンジのベースを下げられるかである。

この下げが大きく、下のレンジまで落ちることができれば
米株の月足がたとえ陽線で終わっても
対円ベースが、今月高値を更新することはないだろう。

現在、私が注目しているのは依然、ドルカナダであるが、
ドルカナダとドル円は、同じドルベースでも動きが異なる。

ドル円が上昇すれば、同じドル買いで、
ドルカナダも上昇するというわけではない。

米時間ではあまりないが、たまに東京時間で
ドル主体のドル高が進むとき(それに併せユーロドルが下がるときなど)、
ドルカナダも上がる、ということもあるが、

基本は、逆相関のような動きをする。

これはドルカナダがまっとうなドルストレート通貨であり
ドル円が似非ドルストレート通貨だからである。

ドルカナダが上昇するときは
リスク回避の瞬間であり
その証拠に、リーマンショックの時や、ユーロ危機のときは
ドル買いの地合いが突き進み、すさまじく上昇した。

ドル円が似非ドルストレートだと私が何度も主張するのは
このままドル円がすさまじく上昇することがドル高地合いであるなら
ドルカナダもすさまじく上昇することになり、
これまでの流れから矛盾が生じる、ということからでもある。

この矛盾は他の通貨でも言えることで
そのようになるなら
ユーロドルはすさまじく落ちる、ということになる。

ドル円はリスク回避局面では上昇しない。
ドル円は、リスク選好局面で上昇する。

それでありながら、ユーロドルが落ちると言うことは
リスク選好局面でありながら
ユーロドルが叩き売られるということになるのだ。

そうなれば、ユーロ円なども上昇の地合いがおぼつかず
リスク選好で筆頭に上昇するクロス円が上がらず、
ドルストレートも上昇せず
リスク選好局面で、ドル円のみが上昇を続ける、という事態となる。

無論、ドル全面高の地合になれば
そういうことも、まれに起こるが
それは特異な為替の局面である。

いまのドル円の上昇は、ドル高・円安ではなくて
単なる円全面安である。

ダウが完全な上昇回帰を果たしていない状況で
ドルストレートが上にも下にも伸びにくい状況の間隙を縫って
円安の相場観が突如示現した、というのが
私の判断である。

ドル円は他の通貨と異なる、まったくの独自通貨ペアであるので
ドル円の単独上昇
それにともなうクロス円の上昇というのもあろうが、
すべてはいまの円安の地合いにささえられた
特異な現在のタイムフレームがゆえの世界である。

私はいまだにドルカナダの上昇を期待している。

それは裏返せば、米株の下落を意味している。

現在のリスク選好地合いは、米株が下落しない、
という楽観から、生じている。
上昇するというセンチメントまでは、まだ相場は育っていない。

この消去法での米株の非悲観(変な表現だが)
を最大限のポジティブ判断で先走っているのが
現在の円安である。

今後、米株が下落しない、から、下落するかも…
下落する!? …下落だ!

とセンチメントがマイナス方向に育ったとき
ドルカナダは必ずブレイクする。

そのときに、期待全開で突き進んできた円安相場もまた
天地がひっくり返るような状況になるはずだ。

その相場転換が生じることに、今の私は賭けている。

ドルカナダは、いま、各通貨ペアのなかで
最も値動きがないくらいに停滞している。

あのドル円よりも値幅がないのだから、かなり異常事態である。

ドル円と異なり、ドルカナダは通常、
ここまで停滞を繰り返すことはない。

これはドルカナダがどちらの方向にこれから進むか判断がつきかね
どちらの方向に向けてもいまマグマが溜まっている状況、と見ている。

その意味では、現在の地合いは無論、悲観ではないとしても
決して完全な楽観でもない。

その段階で楽観全開で売られているのが、今の円である。
それはあたかもシグナルが発せられる前から
すでにポジションを取ってしまっている、
あまり上手くないポジポジ病のトレーダーみたいなものである。

そのリスク選好から回避への転換を、
いの一番で感じるのは、いまカナダドルであると私は思っている。

いまのドルカナダは、
危険なシグナルを早急に察知し
危険の声を発する“カナリア”である。