今週は勝負の週となる

ドル円がドルストレート風に動き出して
早一週間以上がたつ。

これまでの言を覆すようだが
そもそもドル円はドルストレート通貨である。

しかし、何年(いや何十年?)にも亘り
ドル円は、円買いの方向で進み続け、
やがて、ドル円は、
クロス円とその他ドルストレートの波形にのみ踊らされ
いつしか、幻通貨となった。

その桎梏を破るかも知れないレートで私が重要視しているのは
83円を超えるか
もっと正確にいえば、83.4円を超えられるか否かにある。

いまやドル円はその距離を1円以内にまで縮め
ドル円が押されるときでも
ユーロドルなでの上昇の際に、ドル売りを踏ん張ることから
ユーロ円の地合いの強さにまで派生し
その後押しをうけながら、踏ん張っている。

ドル円の上昇からはじまった、今回の一連の騒ぎは
いまや円全面安の事態にまで発展してしまった。

83.4円というのは、現時点の日柄から見て
現在の中期的な三角持ち合いが上に離れるあたりとなる。

私自身、実は、現在の日本のファンダメンタルズを考えたとき
円高に押すとすれば、今回が最後のチャンスだと思っている。

もしも三角持ち合いの上放れのアタックが失敗し
いまいちどの下落を開始した場合、
ドル円の下値は、いまだ77円代まで落ちる可能性を持っている。

もしも、そのレートで踏ん張り、再度の上昇を見せたなら
いよいよ、長期に亘った円高のトレンドは終了の可能性が高まるので
私も円安相場に転向する。

ただ、もしも77円からさらに下に割り込んだ場合
またも当局が介入だなんだと騒ぎ出す、“緊急事態”となる。

その段では、政府がいくら円安を臨もうとも
口先介入で威嚇しようとも
投機たちは、必死に円を買っていくだろう。

無論、もう一段の下げもなく、
このままあ83.4円を超えてしまえば、
もはや円高相場の回帰はそうとうに遠のく。

皆々様のご高説通り、90円突破も困難な目標ではなくなるだろう。

ただ、どちらに転んでも、いまの日本の情勢で
今後、円安に進むとすれば
それは日本にとって、“悪い円安”となるだろう。

円安となっても、
日本輸出企業がかつてのような輝きを取り戻すのは未知数である。

ただ、円安となり輸入価格が上がっていくことで
物価が上がり、庶民の生活が圧迫されることは間違いない。

高度経済成長期のように
物価とともに、各人の可処分所得などが上がっていくなら
円安は望ましいかもしれない。

ただ、いまの日本は円安になり輸出企業だけが堅調に推移したところで
日本全体のボトムアップにはつながらないと思う。

今後、円安が進めば、
ものづくり日本の企業復興、などと経済界はうそぶくかも知れない。

しかし、ざっくりした統計を見るだけでもすぐにわかることだが、
日本は、実は輸出大国などではない。
韓国がGDPの8割高を輸出で占めるのに比べ
日本は輸出に占める割合が2割くらいの内需の国である。

日本が輸出立国などというのは、20世紀までの話で
日露戦争に勝った日本海軍、というような話を
マッカーサーが駐留した日本で叫んでいるようなものである。

円安が進み株高が巻き起こり、日本再生への一歩、
などと当局はじめ喜ぶかも知れないが、
それは一部の富裕層が喜ぶだけだ。

市井レベルでその恩恵にあずかれるのは、大企業と投資家のみであると思う。

小泉政権時代、
いざなぎ景気を超える最長の好景気、と騒がれていたとき
一般の庶民はその恩恵にあずかれていたか。

いまの日本の、社会システム、経済システムの土台の上で
円安が進んでいくことは、
一般庶民にとってはデメリットしかない、と私は思う。