異常な米国相場

以下の話は、個人的な戯れ言である。

ダウ株価は、一旦は調整気味なれど、
かつての痛みを忘れたのごときに
史上最高値を伺うまでに上昇を目指している。

かつての日経平均が3万円(現在、9000円弱)
上海株が8000(現在、2100あたり)

にあって、現在の金融危機の発端であるサブプライム
リーマンショックを生み出した
もはや金融依存でないと生きていけない国家、米国が
図抜けて高い数値を叩いている。
ちなみに、追従するように欧州株もかなり高い位置にある。

アジア勢が堅調な時代の各通貨は
クロス円でいえば、いまから倍近くの値をつけ
各国金利も高い、円キャリートレードにうってつけの好景気である。

翻り、現下の世界経済はどうか。
ゴールドも1700アッパーという、リスク回避的な値を叩き
コモディティも決して安くはない。

こうした状況にあって、異常なまでに高値を伺っているのが
米国株式市場である。

現在の株価が適性で、世界はやがて好景気に戻るのか。
それともすでに好景気(?)なのか。

もしくは、現実に乖離が過ぎている株価は
暴落の宿命にあるのか。

株価が適正に実体経済とリンクしワークする
という幻想が幻想でないならば。

現下の株価の命運は、暴落、しかない。

リーマンショックから半年も経たずして、ボトムをつけ
上昇に転じさせた米国は見事ではある。

日本の鈍くささとは対照的なほどだ。

しかし、やりすぎである。

QE、QE2ときて、いまはQE3さえ期待する。
とにかくドルを量産し、金融相場によって金融市場を建て直そうとするのはよいが、
その刷りまくられるドルは、金融屋の部分で止まり
金融屋は実体経済にそれをもたらすことはなく
株を買ったり債権を打ったり、コモディティを買ったりする。

それが繰り返されてきたのが今日である。

QEによって、復活を果たした筆頭は
実体経済ではなく、ヘッジファンドなどの投機筋である。

彼らはリーマンショックの時期に死にかけたところ
金融緩和によって、見事に復活した。

そして、彼らはレバレッジをかけた資本を市場で振り回し
市場にバブルや混乱をまた生成する。

現在のユーロ危機は、
もともとギリシャの問題で終わってもよかったようにも思う。

それがアイルランドポルトガルにも派生し
スペインの国債が売られ、金利が跳ね上がるような事態となったのは

米国の政策の恩恵を受けた
投機筋を含めたあらゆる金融屋のパワー回復がゆえのことであるように思う。

そして、その流れで作られた国債の暴落を食い止めるため
今度はECBが国債を買いつける。

すべてはアメリカの量的緩和からもたらされた
負の連鎖である。

この連鎖を断ち切るためには、やはりユーロ崩壊をも想定した
今一度の金融市場のクラッシュしかないように思う。

当局は金融市場の崩壊を恐れ、あらゆる緩和措置を行おうとするが、
それは、次なるより大きな金融危機の準備にしかならないように思う。

ある家にシロアリが巣くっている。
一度、家が崩壊しかけ、シロアリも潰えようとしたところに
シロアリの駆除も行わず、金を投下し、家を再建している。
といのがいまである。
かじる柱もなくなってきて、餓死寸前だったシロアリに
新しい柱や壁をせっせと立ててきたのが今である。
シロアリはその柱を食らうことで蘇り
子を産み、数をさらに増幅させる。
そして、柱や壁をまたかじりはじめる。

シロアリを完全に駆除するためには
ぼろぼろの家を焼き払うくらいしないとならないほど
現在のグローバル経済は病んでしまっている。

世界恐慌になろうと、欧州の銀行がばたばたと潰れようと
一端、すべてをリセットしないと。

やがて世界経済は本当に終わってしまうように思う。

世界経済を終わらせない唯一の方法は
実体経済なきまま上昇する米株がまずは暴落すること。

そして、そうした事態となっても、
当局はいっさい緩和措置を取らないこと。

それができれば、世界経済は復活するように思う。

こんなことを言っていると、多くの経済学者や
各証券会社などにいるアナリストたちが鼻で笑うかもしれない。

彼らにとっては、金融市場の膨張は自らの食い扶持である。
金融市場が縮小し、証券会社がばたばた潰れてしまえば
彼らの飯の種もなくなる。

だから、今後、世界がどうなろうとも
金融緩和でもなんでもしてでも
金融市場が消滅しないようにせねばならない。

QE3期待、というのは、
そうした金融村に巣くう者たちだけの望みであり
虚業がゆえに渇望する、次なる麻薬に過ぎない。

とにかく彼らは夢を見続けたいのだ。

その夢は、実体経済のなかでひたむきに生きる人たちからすれば
おぞましくも醜い悪夢に過ぎない。