レンジの上下で大量にLCが溜まってしまっていることだろう

ひさしぶりの更新である。

ユーロの反転基調は、依然続いているようだ。
1.245アッパーを抜けて以来
そこをボトムとした調整反発は、いまだやむことはない。

巷では値固めだとかなんとか
ドラギ総裁の発言以来、ユーロベア派に有利な
ご都合アナライズが繰り返されているが、

その趨勢は、本日のECBの政策金利発表で明らかとなるだろう。

個人的には、現在のひたすらだらだら続くユーロの反転は
結局、下落途上の踊り場であり
それがやがては再開されるひとつの契機となると思う。

現下、言われているECBの国債買い入れがどうのとかいう対策で
ユーロ圏が復活しているなら
とうの昔に、ユーロは下落を終えて、上昇に向かっているはずだ。

それを後押しできるほど、ドルはそもそも弱い。

それでも、世界一弱いドルをしのぐほど、ユーロが弱かったのは
あらゆる金融政策が意味をなさない、という証左である。

ユーロ下落の発火点が今日になるかはわからないが、
本日、初動としては素直にユーロ売りが再開されないかもしれない。
ここまでショートカバーを続けてきた連中は
どのような状況であっても、まずは脊髄反射的に
ユーロロングを打つ可能性も高いからだ。

その理由は、1.263アラウンドで、
ユーロドルが何度も上値を抑えられてきたというのが大きな理由。
何度もこのあたりで、頭が抑えられているということは
新参の逆張り売り(戻り売り狙い)で厚みが発生してきており
その上位に大量のLCが作られてきている。
ここをまず破ろうとして、大きなユーロ買いのカバーがかかる可能性が高い。

といっている間に、このレジスタンスが先ほど上に抜かれたようだ。
ファンダメンタルズの変化が促される前、
しかし、その後の伸びが弱い、というイレギュラーな動き。
いつもながらの中東勢である…。
いま起こったばかりの上げは、
時間は中東時間であるし、テクニカル無視の中東勢のマネーパワーによる
パワープレーの上げの可能性が高い。
しかし、ここに逆張りがかかって上げ止まれば、
上位にさらにLCが積もる可能性が高くなってしまったので、
ECB理事会でのサポート破り狙いの可能性が、
いずれにしてもさらに高まった。

ともかく、ECB理事会の発表が大きなわかれめとなる。
瞬発的にさらなる買いが促された場合、
このカバーが上昇のさらなる連打を促さず
瞬発的なもので終わるか、もしくはロングそのものが促されようもない
明らかな失望と変わった瞬間。

ユーロの下落は再開され、
2ヶ月に亘りだらだら続いてきたユーロ調整場は終わる。

これまで何年も何年も続いてきたことなのに
市場は未だに学ばない(学ばない振りをしている?)。

現下のユーロ問題の解決には
実体経済の回復、もしくは、
ユーロ圏そのものの根本的な構造変革がなされなければならない。

前者の可能性が期待薄であることを考えると
打てる手立ては後者の方法ということになるが、
これまで当局が行ってきたことは、
根本的な対策ではなく、先送りや
金融相場を醸造する、アメリカ的な誤った金融政策ばかりである。

末期症状の患者に手術を行わず
痛み止めのような延命措置を繰り返すというようなやり方は、
末期のがん患者の痛み止めに覚醒剤を打ち続ける末期治療と同じで
そうなると、ユーロは死ぬのか、としか思えなくなる。

まあ、ユーロは人間と違って
悪魔のごとき不老不死の融合体のように私は思っているので
最後は、根本的な治療がユーロ圏以外の犠牲を伴い(!)達成されると思うが
現下、言われている国債の買い入れとか、そうした緩和策では
とりあえず、ユーロ回復の起爆剤とはならないだろう。

トルシエ総裁も散々妙な政策(ユーロ困窮時に金利を引き上げ、
結果、以後のさらなるユーロの暴落を生むなど)を断行し
ユーロ相場を乱高下させ、わけわからなくしてきたが
一本調子の下落トレンドを回避させたという意味では
ユーロの底割れを守ってきたとは言える。

それに対して、ドラギ総裁のやりかたは
よりエキセントリックで、
ユーロの今後のトレンドを結果的にはっきりさせる一助となるよう思う。

そのはっきりさせるトレンド、というのは
現時点では、やはりユーロの下落である。