いろんな言い分を駆使して……

PIMがどうとか、ドイツ首相が何々、バーナンキ議長がどうのこうの。

QE3がどうとかで、新興国の株価上昇がどうとか。
あらゆる各指標の好感がなんとか、失望がなんとか。

FRBがどうの、ECBがどうの、IMFがどうのギリシャがどうの、ポルトガルがどうの。

これら細切れの材料をもっともらしくパッケージングして、
現在の相場付きを説明するために、さまざまな要因を織り交ぜながら
とっても説得力があるように解説するアナライザーたち。

いまの状況の解説としては、まあ、ためにならなくもない。

しかし、所詮は後出しの現象説明にすぎない。

すべてのアナライズが、すべて事が起こった後に解説される。

上げ相場でも下げ相場でも起こった後に解説されたら、なるほど!と思わせるけれど、
すべてが後出しじゃんけんであることを、ゆめゆめ忘れてはならない。

もしも、とある材料が強烈なドル安を示すものでありながら
ドル高に振れた場合は、“反応限定”という魔法の言葉を繰り出し、
またドル安を説明できる材料を見つけだすだけだ。

とあるアナリストがどこかで、語ったことがある。

たとえば円高、円安。

円高を説明する材料も、円安を説明する材料も
いくつでも言うことができる、とのこと。

つまり、どちらにももっともらしい材料があるのだ。

もちろん、相場は一定の材料によって過敏に反応するが、
それは反応するまで、反応される材料かどうかわからない。

たとえば、QE3は強烈なドル安要因とはいうが、
QE3が発動されるときに、万が一、その材料に反応がなかったら
それは、反応されない材料だったということである。

いずれにしても、どんな材料であっても
相場の反応が起こるまでは、それが材料であるかどうかはわからない。

そりゃもちろん、ある程度の予測は立つだろうが
そんなものは、靴を放り投げて天気を占うことと大差はない。

それよりも高い精度を誇っているというならば、
アナライザーは皆、大金持ちである。

ただ、実際そうはなっていない。

アナライザーたち自身、後出しじゃんけんというのをわかっているのだ。

こうした相場の流れを後から解説する、
言っては悪いが、相場に巣くう寄生虫のような方々の言説を信じていたら、
一生相場で勝つことはできない。

アナライザーはいまの適正値段がいくらであるかは決して言わない。
現在の値段が適正な値段。
上がれば上がるし、下がれば下がる、そんなもんである。

無論、レジスタンスを越えたので、このあたりまで行きますとか
サポートを割ったからここまで行きます、などとはいうが、
それもすべて後出しじゃんけん

現在の値段のみを基準として、そこから適当なことを言うだけである。

そういう彼らに、為替はもちろん、株式であっても
いくらが適正価格か、と言われれば口ごもる。
PERがどうとかで、安すぎるかもとか、インフレ率で計算したら高すぎるかもとか、
適当なことを言っているが、いずれも説得力に欠ける。

では、たとえば、
いまのダウの適正価格はいくらか、と私が問われれば、

私はこうこたえる。

よくて9000ドル、もっといえば、8000ドル以下くらいの印象である。
しかもこれは株価に価値があると信じていて存在しえる価値に過ぎず、
そうした信任的なものがなければ、

個人的にはダウ銘柄の平均的価格価値は、
500ドルくらいと言ってもいいように思う。

このぐらいの値段なら、ダウのどの銘柄を買ってもいいかな、と思えなくもなくもない。

いや、ただ、そこからさらに下落し、壊滅するかも、と考えれば、
500ドルすら惜しい。

それほどまでにアメリカは、巨額の借金大国であり
他国の犠牲のもとに富を蓄積する歪んだ帝国であり
世界経済のためには、実は早々に消滅した方がよいとさえ思えるほどの国家である。

いっそのこと、いま巷を騒がせるユーロに加盟し、
アメリカ大陸もヨーロッパとして、
ユーロのなかのOne of themの国家となってECBに管理された方が
まだましと思えるくらいだ。

そうなれば、ドイツを凌ぐユーロ圏No.1の国家となるが、
借金まみれで、ギリシャ以上の損害を世界に与えてしまうかもしれない。

ともかく、そんなアメリカの株は買わないだろうな、と思う。

そもそもこんな値段の株価を買いを買いでかぶせ、
ダブルボトムを抜きながら、レジスタンスを抜きながら
テクニカルの要因のみで、上がり続けた値段が、いまの値段だ、と思っている。

暴論であるのを覚悟で言っている。

ともかく、私がアメリカに対しての価値を値踏みすれば、まあそんなもの、ということだ。

だからもしも次に暴落が起こった場合は、もはや底は見えない。
まあ、究極の底は500ドルなので、そんなところまで暴落すれば
株式を保有している全資産家にとっては無価値に等しいもとなるだろう。

ちなみに、欧州株もまた同じ。
ただ、欧州株の印象は、500ドルまでとは思っておらず、
いまの値段の半分の価値もない、といった印象だろうか。

唯一、現在、安すぎると思える株は、意外と思われるかも知れないが、

個人的には日本株である。

アメリカの呪縛から解き放たれれば、
いまの倍くらいの値段であっても、まだ安いと思う。

ただ、アメリカの呪縛から解き放たれない限り
いくら株価が不当なまでに安くとも、低位のままでデッドロックされつづけるだろう。

それが奴隷の宿命である。

これはポジショントークではない。
その証拠に、自分は日本株を取引しない。

外野からみた印象である。