USD/CHFの分析、そしてダウ

ここで唐突にドルスイスフランの分析から。

ドルスイスは、中期的な下げレジスタンスを突破し、
0.911あたりを直近最安値、次いで0.922あたりを起点としてチャネルラインを形成しようとしている。

この見立てが正しいなら、一端の大きな押しを受けたとしても、
次に目指すは、0.93あたり。
直近の高値と直近の最安値を結んだ戻りの38.2%あたり。

さらにはここを起点としたエリオット波動を見れば、
短期的には3波が終わり調整4波を経て5波に変化するような形をしている。

ここでいきなり史上最安値のレベルから
日足レベルの中期的に俯瞰すれば、上昇トレンド5波を一旦終えて
調整A波の下落が終了しているのかいないのか、という形状。
週足レベルのやや長期的なレベルで見れば第5波は終了していないとも取れ
第5波のなかでの調整第2波が終わり第3波を形成しそうな勢い、
もしくは、
第5波どころか、現在は上昇第3波がまだ終わってもいない真っ最中とも取れる。

ややこしい話となるが、いずれにしても、これら見立てが正しければ、
要するに、USD/CHFは下落を終え反転を見せようとしている。
つまりは上昇トレンドを形成しつつある、
そうなれば最終目標は、低く見て1.078あたり
いまの値段から見れば、1500pips近く上となる。
最も高く見れば、ターゲットはさらに伸びて1.2200あたり、までとなる。

この見立て通りの流れとなるなら、長期の下げトレンドラインもやがて突破するため、
上昇はまだ先まで続く可能性すらある。

これが何を意味するかと言えば、ドル安相場が終わるということよりも
スイス高の地合が完全に終了することを意味する。

スイスは実はユーロの影響を最も受けるため
スイスが下落すると言うことは、
EUR/CHFが上昇ということになり、
そうなればEURが上昇することなるが、

EUR/USDの下落が、ユーロの上昇を阻むだろう。

スイスが下落するにあたり、ユーロが相対で買われているに過ぎず
ユーロそのものは上昇の地合ではないから
USD/CHFの上昇にも阻まれて、ユーロは上がることは困難となる。

結果としてスイスの下落は
ドルの上昇も後押しし、ユーロの上昇はおぼつかず
結局、基軸通貨のドルの強さが勝り、ユーロは徐々に下落
ドルが徐々に上昇、ユーロが徐々に下落という動きとなるだろう。

ただ、このねじれもピークを迎えれば
ユーロも上昇を見せていく可能性もあるが、
当面はこれら見立てから、ドル安相場も終わるといえば終わる。

ドル高相場が意味するところは、つまり株安である。

最強通貨であるスイス(私は円とは思ってない)と
最弱通貨であるドルのペア

USD/CHFは、実は為替相場や金融相場における
先行シグナルになりえるところがある。

いまスイス中銀は、強烈にスイス安を望んでいるが、
それはチャートから図らずも達成される可能性が高い。

いまの世界の趨勢から、スイス安が進むということは、
株価暴落のような事態であり決していいような状況ではないが
もしそうなった場合に、スイス中銀はなにを思うのだろうか。

景気もよく、スイスも安い、そんな都合のいいような流れは難しい。

各国の通貨にはある意味では役割がある。

スイスが下落ということは、これまでのセオリーから普通に考えると、
避難通貨の役割を終え、景況感が回復したように捉えられるが、
現在のユーロ主体(実はドルも便乗した)、
ゆがみにゆがんだ状況を調整する流れにおいては、
スイスフラン安というのは、世界景気にとってはマイナスである。

つまり、現在の世界情勢において、スイスフラン安の状況が生じた場合、
ファンダメンタルズ的には世界はよくない、ということである。

まあ、よくない、というよりはもともとよくない状況を
これまでコーティングしていただけで、株価が暴落したとしても
ようやく本来の状況が顕在化した、とも私は思っているのだけれど。

といいつつ、今日も懲りずに、
ダウがなんの根拠もなく上げているが、
これもそろそろ終わると見ている。

昨日がその最初の発火点のようにも思えたが、
いまだ上昇の調整と信じたいグリード連中がもう一度の上げを試しているように見える。

押したところで押した以上に上げ返す。
そうしたまさかまさかが通用し続けダウは上昇を続けてきた。
いま投資家連中はダウが上がるという楽観だけに支配されている。

だから下げても下げても押し目と見て買い上げる。
しかし、それもそろそろ終わる。

現在までゆがみにゆがみきった相場がいつ正常に調整されるかはわからないが、
その発火点として、まずはダウが暴落しないとならない。

ダウの現在の値段は、異常としかいえない。

こういう根拠なき株高が続く限り、世界が正常に戻ることはない。


追記
USD/CHFのチャンネルラインがいきなり下に崩された。
相場はゆるやかな上昇はやはり許してくれないらしい。
ただ、直近安値をまだ保ってはいるので
現在の下落圧力が収まれば、上昇を開始するだろう。
根拠も乏しく、よくもまあ、ドル安が続くものだ……。
すべての元凶は、FRBのドル安政策と
それに追随するダウの異常なまでのはしゃぎすぎのなせる技である。

現在の楽観相場は、商品相場や債権も一因はあるにせよ、
究極的には、この要素のみが根拠である。

実体経済の反映などはいっさいないと断言する。

そんななか、FRBのとある理事のご意見。

プロッサー・米フィラデルフィア連銀総裁
「政策は経済環境に左右されるべきであり、カレンダーではない」

至言である。
2014年まで低金利を続けるとほざくFRBへのアンチテーゼとして備忘録したい。

USD/CHFは深夜のアタックで直近最安値0.9114を狙われたが
即座にカバーされた。

この底の堅さにより、まだドル高への転戦は、消滅していない。