予測検証からあらためて、思うこと

厳密には予測の追記というわけではないが、

予想結果を検証していてあらためて思ったことは、巷でプロと称する人たちがいかにインチキかということだ。

いつものことだが国内外の投資銀行などが、よくユーロが下落でもスイスが上昇でもいいのだが、レポートでユーロがドルベースでパリティにいくとか、円ベースで100円を割るとか、ユーロスイスが1.100を割るとか、や、いまなら2.000にいくとかでもいいが、とにかく、長期的にはすさまじいpipsのターゲットをしかも半年、一年のスパンで想定し、よりにもよって世間に公表している。

まったく、無意味な話だとしか私は思わないが、それを求める人がいるのだから、詮方ない。需要と供給の関係。

まあ、ターゲットを設定するだけましにしても、それでも、これだけの値幅をそのままスイングさせて、数百pipsの押し上げや押し下げが起こった場合、どうしのいでいくのだろうか。損切りでしょうか、それとも、ただ含み損としてかかえ続けるでしょうか。

いまの世界的なトレンドで言えば、ユーロ。

いま多くの経済評論家、アナリストなどと称する人たちは、強烈にユーロ安を予想し続けている。それはそれでかまわない。

しかし、それを百年一日のごとく語り続けることに問題がある。

どれだけ戻しが来ても、ユーロ安。500も1000も戻してもユーロ安とか聞いていると、私としては、もはや馬鹿なのではないかとすら思う。

ユーロは昨年、1.2あたりからの戻り、再下落の後の、年初上半期の1.3あたりからの戻りで、1000pipsも2000pipsも動いている。まあ、上がったり下がったりしてはいても、上げで結局はそのくらの値幅だ。この戻りだけを見れば、ファンダメンタルズがどうだとかギリシャがデフォルトだとかなんだかんだいっても、そのときの相場は確実にユーロ高だ。インフレ警戒の金利引き上げだから、金利差でユーロ高、まあなんでもいいが、とにかく、ユーロ高だったのだ。

しかし、彼らは、その間中もずっとユーロ売りばかり言っていた。
いまは戻ってもやがて落ちる、なぜならユーロの問題はなんら進展していないからである。
とかなんとか。

結果的に落ちるかもしれないし、落ちないかもしれない。
ただ言えることは、この何年かのスイングっぷりから、いまさらユーロが1.2に行こうが、1を割れようが、ユーロ安の相場観を少なくとも、一年以上、ずっと主張していた人については、ぜんぜん偉いと思わないし、むしろ犯罪的ですらある、ということだけだ。

それだけのスイングで延々でもユーロ安などというのは、どうなんだうか、と思う。

その間が半年続いたとすれば、一ヶ月後でもいいから、ユーロ高を宣言して、ユーロ高を推奨してもよかったじゃないか、という話である。

ここ一年あまりのユーロの上昇の変動率は下手をすると15%あまりは動いている。

レバレッジにすれば、6倍以上のレバレッジでショートを一番下から守っていた人たちは、強制ロスカットがかかるようなレベルだ。7倍なら、全資産が確実に吹き飛ぶ。

だから損切りを置きましょう、ということだろうか、だから、レバレッジを低く、ということだろうか。

3倍でも45%吹き飛ぶ、では2倍か。

そんな問題でもないと思う。

いま世間で言われている普通の方法論を取っていけば、普通の投資家は運のいい一部な人を除けばほぼ100%負ける。

レバレッジを2倍にしても負ける。

退場するのが半年後になるか、5年後〜10年後になるかというだけの違いで、投資資金の元本はとにかく大幅に減らして終わる。

こういうやりかたで絶対負けない方法は、やらないか、レバレッジ1でやるしかない。さすがに通貨がゼロになることは、いまの時代ではかなり可能性が低い。ただ、それでも確率は0ではないので、究極の負けない方法はやらないことだ。

ただ、それだとあちらさんが困る。
で、FX会社、証券会社、そして、それに巣くうエセ専門家たちは、結局負けるのだからと、低いレバレッジで、じりじり負けていってもらった方が、細く長く搾取できるという判断で、いまの状況を作り出しているようにしか思えない。

しかも低いレバレッジ損切りを置いて、というのは、相場の世界で食っている人間が責任を回避し、好きなポジショントークをしゃべりたおせる、スウィートワードだ。無論、彼らにとってのみ甘い、言葉、という意味だ。

レバレッジさえ小さければ、個人投資家はそう簡単には吹き飛ばない。ということは、吹き飛ぶ頃には、もう自分は関係ない、という形で逃げおおせる可能性も増す。その甘さがたまらない。

ただ、彼らがお客さんにしている方々で、そんな外貨預金みたいなレベルでFXをトレードしている人がどれほどいるというのか。

さらに、これに投資の世界の超最強の魔法の言葉、「投資は自己責任」、というのが加われば、もう個人投資家はいっさいの文句が言えない。
はい、これにて私たちは完全無責任ですっV、と宣言しているようなものだ。まったく、人を馬鹿にしている。

とても不思議でならないのだが、完全に無責任な立場の人間が語る言葉や分析を、なぜも多くの人たちが支持し信じるのか、理解ができない。

昔、証券会社が損失補填したとかいう話があったが、そちらの方がはるかにましだ。投資家たちは、自分で好き放題トレードしているわけではなく、彼らの積極的な助言や推奨銘柄を信じたのだ。薦めたからには責任は取るべきだろう。責任を取らないなら、薦めるべきではない。そういうのに懲りて生まれた、責任回避の究極の魔法が「自己責任」のようにすら思える。

一般の人たちが相場に負ける理由は多くの理由があるが、これだけではない。

他にはこういうのもある。

損切りは早く、損小利大で、ナンピンは厳禁。

相場の世界で黄金規律のように語られる教訓である。

しかし、多くの人たちは負けている。これをできないからか。きっとそうではない。

最初の投資銀行や証券会社の話に戻るが、彼らは上記のことを厳守している気配はない。むしろ逆らうことの方がおおいとすら思える。

彼らは一定のターゲットの相場観の中で逆に触れてしまった間は、損切りをする場合もあろうが、しない場合もある。なぜしないかといえば、ヘッジでポートフォリオにその逆のポジションを入れるオペレーションを取っているはずだからだ。

たとえば、ドル安を予想していたときに、強烈なドル高がきた、と、その場合その間は、原油や金を売るなり、株を売るなりしてヘッジする。

アルゴリズムだかいろいろな、そのへんのFX会社の遊びのような自動売買よりもはるかに高精度のコンピューターでナノマイクロほどのレベルで、次々ポートフォリオを整理しながら長期のターゲットを目指しているはずだ。そのターゲットが世間向けの嘘ではなく、本当に信じているならば、そうするはずだ。

それに対し、一般のFX投資家は、そうしたリスクヘッジは取らない。上昇トレンドであっても、そこに一旦きつい下押しがくれば、損切りは早くと思っている人は、ばしばし損失を確定させるだろうし、それをしなくて上昇に根拠があったとしても、ただ含み損で耐えながら、ポジションを保有するしかない。

通貨しか扱わないなら、証拠金取引なのでショートもかけて一時的なヘッジをすればいいとも思うが、業界は、それは許さないようなムードをまた発散する。

両建ては、証拠金も二倍かかり、損益も固定され、スプレット分もありますし、資産運用に非効率なため推奨しません、とかなんとか、こうしたゴミみたいなレベルのpipsを次々つなぎ合わせるような口実を、多くのFX会社が口裏を合わせるように主張する。顧客が両建てし、損益が固定させてしまえば、スプレッド収入も安定的に入らないし、収益が非効率になるのは、むしろ会社の方だろう、とすら思えるほどだ。個人投資家のトレードは止まるより活発な方が、会社は儲かる。単純に考えると、損益の固定は、顧客よりも、むしろ会社の方がデメリットが大きい。プラススワップからのマイナススワップの差額だけ取っているだけだと、会社としてもどうしようもないのではないか。

しかし欧米や日本の銀行すら行っている株、債権、コモディティ、為替、などで分散するポートフォリオというのは、ある意味では通貨の両建てのようなものだ。証拠金も倍積んでいるのに等しい、別の市場にそれぞれ金を入れるのだから。

極論を言えば、両建てを否定する人たちは、投資銀行や証券会社が長年資産運用に活用しているポートフォリオそのものを否定しているようなものだ。ゴールドマンサックさん、モルガンスタンレーさん、HSBCさん、まあ、なんでもいいが、あなたがたは非効率は運用ですよ、投資資金も倍かかりますし、損益が固定されます、だからお奨めできません、と言っているのに等しい。

いま株高を信じるなら、株しかもってはいけません。そこで同時にヘッジで債権を売るのは資金効率を悪くするので、そんなことをせず、損切りだけ置いて、株だけ持ちなさい、というのと、為替の両建てを批判するのに、どれほどの違いがあるのかを、論理的かつ明確に説明してくれた著書や専門家を、私は寡聞にしてしらない。

通貨の両建てが非効率だという根拠にされるのは、証拠金が倍増するとか、スワップを払わされる、スプレットが広がる、毎回毎回、そういう類の話ばかりだ。

1lotで例え、1日500円スワップを払ったとしても、1日で200pips落ちれば、20000円ほどの差益になる、500円を差し引いてもあまりある利益だ。

まあ、私は別に両建てが勝利の必勝法とか思っているわけでもないから、これ以上は言わないが、そういう類の話は、とにかく、一般の個人投資家をどんどん負けやすい方向に導いているとしか思えない。

話がどんどん逸れたが、いずれにしても、いま巷で言われている王道といわれる考え方や手法のほとんどは負けの王道であるし、専門家が語るポジショントークのほぼ99%が当たってもはずれても最後は負けるという事を示す道標にしかならない。

それだけは断言できる。