ドル買いを根拠とする2つは、もはやともに失われかけている

昨夜のNY時間に行われた講演で語られたことは、

要約すれば、ドルの利上げ打ち止め示唆、だったようだ。

こういう当局トップクラスの金融政策の示唆は、後に現実になることが多く、おそらくドル円は近いうちに利上げを打ち止めるのだろう。

とはいえ、いまはまだ利上げ継続中で、
であれば、まだまだドル買いか、となると、そう簡単な話ではなく、

相場は常に先々のことを織り込んで進むもので、現在のレートは継続的利上げをすでに織り込んだ結果である。

でなければ、こんなど高めであるはずがない…というレート感はまったく個人的な感想ではある。

現在のレートが利上げ継続の先々を見越した折り込みによるものならば、今後も利上げが継続するにせよ、その先の打ち止めがまだ織り込まれてはいなかったはずだ、その織り込みに走る上でも、早晩、ドル円は更に落ちていく可能性が高い。

通貨は現在の価値により買われたり売られたりしているわけではない。金利先高観がある通貨が買われ、先安感のある通貨は現金利がいくら高かろうが、上がることは難しい。金利の高さをすでに織り込んでいるのが、現在の為替レートで、現実に政策金利が上げられるたびに買われているわけではない。

もちろん、政策金利が利上げとして発表されたとき、為替レートの多くは上に跳ねるが、それは短期的なディールレベルに過ぎず、本質的な上昇トレンドはそれより以前にとっくに作られている。

というわけで、現在のドル円を上昇させていた利上げという根拠がほぼ崩れた。

ドル円は、金利の先高観と株高、この2つを上昇の根拠としてきた。米10年債利回りの語られるともあり、相関がありそうなときもあるが、これも基本は株や政策金利の動きに依拠したようがものだ。

要は金利と株、ほぼこの2つのみが、ドル円の上昇を演出していた根拠であるといっても過言でさない。

昨夜の講演で、金利先高観というドル高の大きな根拠の1つが消えかけている。

そして、株高については、現在の弱気ぶりを見れば、すでに言わずもがな。

これまでは株がどれだけ下げようが、ドル円は下値を守っていた。その根拠は金利の先高観のみ、であるといってもよい。

今後は株安となれば、ドルの下落はダイレクトとなろう。もはや、下落を食い止める根拠はない。

目下、ドルを支えていた二本柱はともにヒビが入りはじめ、折れかけている。

やはり今後のドル円は下落するしかない、と予想する。

ようやく、ようやくきたか…。

今度こそ、ドル円は全力で叩き売る。