ピストン運動の逆流

今週はずっと欧州通貨ベースのクロス円、
例えば、ポンド円やユーロ円を下げることを狙った相場が続いている。

例えば、ユーロ円

これは俗に言うクロス円で、ドル円とユーロドルの掛け合わせとなるが
クロス円を引きずり落とすときは、

ドル円もユーロドルも下げることで、その増幅を狙う。

もちろん、ドル円が上がるときは、相対のユーロドルはその裏で下がってはいるが、

ユーロドルが大きく下がって、ドル円小上げ
ドル円大きく下がって下げ、ユーロドル小上げ

というピストン運動を繰り返し、

結果、ユーロドルも、ドル円も下がることで

ユーロ円を大きく下げるのである。

現在の主役はいまだ欧州クロス円(ユーロ円、ポンド円など)に向けられており、
円買いの欧州通貨売りを行うための端役として
ドル円と欧州通貨ドルストレート(ユーロドル、ポンドドルなど)は利用されている。

この状況をドルベースの相場に戻すためには
欧州クロス円、ユーロ円で言えば、これが上昇に転じなければならないが、

そのためには、ドル円もユーロドルも一端ともに上を目指すという
現在の逆ピストン運動が必要となろう。

その要となるのは、やはりユーロドルである。

ユーロドルは、ロンドンアニマルの攻勢により、18:00
ついに、かなり強めのサポートとして効くはずの
1.0986を下に割った。

今度は、ここがレジスタンスか化し
以後はは数時間ずっと、この位置に近づくと押し戻されるという具合で

ユーロドルが大きく下がって、ドル円小上げ
ドル円大きく下がって下げ、ユーロドル小上げ

といった、ピストン運動で、ユーロ円を下に下に追いやっている。


いまはユーロドルが下がったとしてもドル円は買えない。
また、ドル円が下がってもユーロドルは買えない。

この流れを逆流させるためには、まずはサポートを割ってしまったユーロドルが
このラインを上に復帰しなければならない。

そうなれば、あとはドル円、ユーロドル、どちらであっても買いである。
無論、ユーロ円も買い。

ユーロドルの上昇時、ドル円が下がったとしても、それはドル円上昇のいい押し目となり、
ユーロドルの下落時は、もちろん、ドル円を追撃でどんどん買っていける。

そのためにはなにはなくとも、ユーロドルが1.0986を明確に上抜けなければならない。

これができずにどんどん、1.0986のレートから下に遠ざかっていけば

ユーロ円殺しの相場、ユーロドルもドル円も下げる相場は終わらない。

もちろん、個人的にはいまだドルショートで、
ドル円などは下がりユーロドルは上がると考えているが、

そのためにはユーロ円下落というクロス円相場が終わらなければならない。

ドルが上がるにせよ下がるにせよ、

本来のドル相場に戻るためには、どちらにせよ、
ドル円もユーロドルも上昇するという、現在の状況の変更が必要となる。

ユーロ円下落→ユーロドル、ドル円下落

から

ユーロ円上昇→ユーロドル、ドル円上昇

の転換が起こった後、

ドル買いにいくのかドル売りに行くかは

どちらの上昇幅が大きいか次第だろう。

1)ユーロドルがドル円よりも大きく上昇するなら
やがてドル円は頭打ちとなり、ユーロドルの逆相関の真の下落を開始する。

ドル円がユーロドルよりも大きく上昇するなら

2)残念ながら円高相場は一端終わり、円安相場が示現し
ユーロドルは真の下落を開始することになるだろう。

個人的には2)を鉄板と考えているが
一端の調整で、2)が発生するならば

ドル円は買いの選択をしばらく行わねばならないだろう。

いずれにしても、現在のドル中心の為替相場を歪めているクロス円相場は
欧州への注目、特に英国への注目が大きすぎるがゆえである。

英国という一国のみが、現在のあらゆる通貨レートをおかしな動きにさせている。

ユーロは単にそのしわ寄せを食らっているだけである。

ただ、こうした歪んだ相場は長続きはしないだろう。

その是正がいつになるかはわからないが、

いまの状況でドル円が安値を更新するとかフリーフォールと化すなどといったことは
期待するべきではないと思う。
また、逆にドル円が大きく上昇するというのも淡い期待である。

とにかく、現在のユーロ円殺し相場が終わるまでは
ドル円、ユーロドルともに、おかしな動きをしながらのゆるやかな下落しかない。

まあ、何も考えずにユーロ円を売っておく、というのが、
やはり、現在の鉄板トレードなのだろう、と思う。

ユーロ円を下げるためだけに利用されている燃料であるのだから
本質的にドル円は叩き落とされる目では、まだ見られていない。

ドル円の真の暴落は、とにもかくにも現在の状況が変化した後であると思う。