トレンドを意地でも発生させまいとする、ドル円

ドル円はここ数日下値を切り下げつつ推移しているが
まだまだ明確なトレンドが発生しない。

119.7 119.5

といった、下値を割り込んでいきながらも

買いが入ることで、ある程度戻してしまう。

で、高値であるが、120.3、119.9などと
明確に切り下げてはきている。

レンジ幅は下降気味で広がり、右肩下がりに推移しているが
結局、ドル円に買いが入るがゆえに
明確なトレンドが形成できないでいる。

まあ、レンジといってしまえば、それまでだが、
購買力平価からすれば、105円等ともいわれるドル円
119円を上回っている現状は
まだまだ割高であることに変わりはない。

かくもいちいち買い下がられる理由は、
世界の日本への期待感であろう。

期待感、というのは国力云々の話ではない。

円売りドル買いを本能とする
着物トレーダーたち
つまりは、日本人個人投資家の買い
ファンダメンタルズかもうすこしまともなことをいえば
米国の利上げ期待
さらには、現下の日本の追加金融緩和に期待が注がれているだけである。

米国の利上げ
つまりは、米国の経済の堅調
というものが、そもそもまったく信用がおけない。
中国の経済指標に信用がおけないという話があるが
それ以上にいかがわしいのが、米国の経済堅調
というストーリーである。


たしかにそれでも、これら諸要素を加味すれば
ドル円ブル派としてもれば、買いに買いたい理由もわからなくはない。
しかしなが、これら要素が、ある程度の効力を発揮するとしても
すでに昨年の黒田バズーカなどではしゃいだ
にわかロングによって引き上げられたドル円などみても
とにかく、ドル円は、
もはや十二分にオーバーシュートの領域に突入していると
個人的には思っている。

ドル円が今後130円までいく、
などと見立てる人々もいるが、
まったく狂気の沙汰である。
いまのままの金融相場が突き進み
ビックマックが800円とかする世界が、はたしてまともな世界か。

800円のビックマックなど売れるはずもなく
狂った円安でつくられたあらゆる商品サービスは
消費者から見放される。あらゆる世界の異常さは
まっとうな経済活動によって、自動的に修正される。

その方向は、おのずと円高ドル安の方向でしかありえない。

そもそも105円あたりからありうべからざる価格
120円アッパーまで伸びてしまったドル円
これ以上の上昇を演じるためには
金融相場といったまやかしでない材料が必要となろう。

そうした材料があるか。

日本の主力企業の力など考え
それがありうべき要因だとすれば
その結果は結局円高、という流れしか生みえない。
日本企業が堅調ならば、それはすなわち円高になる
という方向が自ずと導かれるからである。

2012年あたりからはじまったアベノミクス相場であるが、
結局、実体経済になんら、利益をもたらすことはなかった。

ドル円は、もはや下落以外に選択はない。

さらにもっといえば、
現下の円安相場は官製相場がもたらした
輸出企業の為替差益的な業績向上以外が
まったくのまやかしのものであるならば、
実体経済としての日本の強さは、なんら
過去より代わってなどおらず、
本来、ありうべき方向に戻る、ということとなる。

日銀が犯罪的なまでに円の価値を毀損してきた結果が
現下の円安の主要的な要因だが
こうした犯罪的なまでの緩和政策を
世界は日本以上に行っている。
米国しかり、欧州しかり
そうなると、こうした下駄もやがて意味をなさなくなる。

現在のトレンドが円高トレンドに回帰したとき

それは105円とか100円とか
そんな甘いレベル話ではない。

ドル円の史上最高値、75.54さえも
単なる通過点となりかねない、怒濤の円高トレンドが発生しても
おかしくはない。

もちろん、米国の利上げ、という要因から起こる
金融政策の違いによる円安方向の圧力があるとしても
それでもドル円が100円を割れる方向にあらがうことは困難である。

もともと105円すらもあやしいレート価格から
120円まで上昇したドル円である。
どのくらいの下駄が履かされているかわからない。

翻り、すさまじい下落圧力から
1.1割れまで追い込まれたユーロについても、事情は同じである。

円が不当に安く、ドルが不当に高く、ユーロドルが不当に安い
こうした相場が何年にもわたり続いてきた。

この不均衡によって割を食った個人や企業は数知れないが、
逆にこの不均衡によって破格の利益を享受した人や会社が
いたことも事実である。

世の中など、まあ不平等なものであるが、
こうした不均衡も、やがてありうべき姿に戻るであろう。

ドル円は100円アンダー、ユーロドルは1.2アッパー
そうしたありうべき状況に、やがて回帰していくと思う。