まだ止まぬ、ポンドの投機売り

オシレーターは下値張りつきでかなりの売られすぎにかかわらず、

株価の下落に乗じて、リスク回避が加速すると

またものねじれのユーロポンド買いが発生。
本来はユーロが売られるべき流れを無視して
ポンド売りに照準を定める。

株安の際に最も被害を被るのは通常は豪ドルであるが、
目下、金利政策の思惑から下値が追われにくい豪ドルに代わって
現在、株安で最も打撃を受ける通貨はポンドとなってしまっている。

そういう方向から見たときに、ポンドが際立って悪いわけではないのに
株安でポンドが下落する理由も説明がつきやすい。

通常の株安での豪ドル安も、豪ドルのファンダメンタルズを考えれば
下げすぎるというのには、無理がある。

ただ、そういうときによくいわれるのが高評価の通貨は
リスク通貨と呼ばれ、
世界的景況感が悪化すると最も逃避される、とかなんとか解説される。

ポンドがいま際だって悪くないと言うことは
裏返せば、ポンドがいま最も期待されている通貨である、とも見て取れる。

そういう通貨は株安にあたっては、最も売られる。

ただ、ことさらにポンドだけが買われ、
ポンドだけが売られているというわけでもないが、
そうした見立ても一定の説得力があるように思う。

いずれにしても、現在、株安が加速するとユーロポンドが買われる
という、通常ではあまり起こらない事態が続いている。

続いている、といっても、まだ4日ほどではあるが、
今週はその流れが顕著である。

株価の下落は4日以上前からはじまっているから

この転換は、突然、起こった、ということになる。

その理由は、個人的にはテクニカル的な要因だけと思っている。

株価の下落で、各ドルストレートが一様に下落するなか

ポンドの、とくにポンドドルが、
ある拍子にテクニカル的に意味のあるラインを下回ってしまった

そこから一気にポンドに対する注目が集まり

その途端、ユーロポンドは反転を起こして上昇しはじめた。

というのがテクニカルから見立てた私の分析である。

相場で狙い撃つときは最も弱い者を叩け、というのは
時々、語られる“鉄則”である。

相場の世界には一切の情はない。

普通の世界では最も弱い者は叩かない。

例えば、戦争であっても、赤ちゃんを積極的に殺すことはしない。

ただ、相場の世界では、戦争において、
最も殺戮すべきは赤ちゃんである。

しかも、それだけか弱い者であっても、
屈強な男たちが十人がかりで、いたぶり殺す
といったようなことが、相場の世界では平気で起こる。

それを喩えて、私はよくそうした連中のことを
“人でなし”とか“鬼畜”とか評するが

これは相場の世界を一般の世界の倫理観で語っているだけに過ぎず
実際は、意味のないことだというのはわかっている。

一般のモラルに照らして相場を見れば、
相場はとても正視できるような世界ではない。

ただ、だからといって相場の世界観を当たり前のように感じ
売りを売りで応え、買いを買いで応えていくようなことをしていると
自身のまともな倫理観さえも失いそうになるから
あえて、言葉遊びとわかっていながらも
そうした彼らをそう評している、というところもある。

ただ、自身も相場の状況によっては
そうした、一般世界においては、人でなしや鬼畜当然のことを
やったりするのだから、実は他の相場参加者と大差ないともわかっている。

相場の世界では、
溺れている子犬を、さらに攻撃しろ、
のような喩えも、語られるときがある。

これはいまの例と同じようなものである。

結局、そうした“人でなし”の世界が相場である。
その世界で生きていく者は、“人でなし”でないと生き残れない。
だから、相場に参加する者は、誰もが人でなしであり、ろくでなしである。

ただ、通常の世界と違って
相場の世界というものは、そのような、か弱い赤ちゃんや溺れる子犬が
ある瞬間に最強兵士や伝説の狼に変異することもある。
そうなれば、相場参加者は一目散にそこから逃げていく。

そうした幻魔のような世界もまた相場であり現実と違うところだ。

だから相場は怖くもあり、面白くもあるのかもしれない。

そんなことよりも、いま最も“か弱い子犬”であるポンドの話である。

結局、本日、株価は大きく下落してしまった。

いまのユーロポンドはすでに説明したように
こうした株価の下落では上昇を見せるねじれがあるがゆえに
株価の下落もかかわらず日通しの高値を更新。

おかげで、ポンドはついに200日移動平均線の下
1.585アンダーを割り込み、
もはや200日移動平均線の上を守っているのは
豪ドルのみとなった。

さすがに守ると思っていたラインを破られたので
ポンドドルは損切りした。

株安が加速しているのだから仕方がない。

もともと、米株の暴落を想定しながら
ポンドドルを買おうとしてるところが強引ではある。

ただ、すべてではなくボリュームダウンした状況で
大きくポジションを減らしながらも
またも小口で買いを入れた。

図解すれば

        • -

○○○○○ ポンドドル 平均1.59あたりの買値

↓ ボリュームを損切りで減らす。

○○ ボリュームダウンした上で

▲ 1.584からの買い

ということで、

○○▲ でいまだポンドドルは買い持ち

平均買値が1.588ほどに下がる。

          • -

こうした損切り+ナンピンのようなオペレーションが
理にかなったやり方なのかどうなのかわからないが、
とにかく、ポンドは投げたくはないのである。

本当は1ロットすら投げたくはないが
レバレッジがかかっているために
ある一定のところで、損切りを執行しないと
マージンコールがかかりかねない。

今回は苦渋の選択である…。

ポンド円については、127.4あたりで売ったが
127.1あたりで早々に買い戻した。

ユーロポンドについては、日通し高値を更新したので
これもまた当然、損切りされてしまったが

同様の理由から、やはりユーロの堅調は
ポンドの投機の相対から発生しているとしか思えないので

エキスパンションが発生したところで、再度の売り。

売値は、0.8040

損切りは、21日移動平均線の上、0.8055に置いた。

現在のポジショニングは損切りできない塩漬けのつもりはない。

現在の株安は一見すればユーロ安に触れているように見えるが
対ポンドにおいては、
ユーロは、目下、かなりの楽観と投機で支配されていると思っている。

いま、ユーロのポジションを問われたとき
ユーロドルで買うかどうかという問いは
ドルのやばさを考えると、どちらとも言いがたいところはあるにせよ

ユーロポンドを買うかという問いに対しては
断固拒否したい。

買うことを拒否したいのならば
当然、選ぶは売りである。

グローベックスについては、続落基調で恐怖感が支配されつつあるが

実は200日移動平均線の直近高値からの下落を見ると
ターゲットして想定される12650アラウンドにはさきほど到達した。

おそらくこのボリュームあたりに
利食いにせよ、新規にせよ、ある一定の指値があったのだろう。

そのあたりできっちり折り返しが発生しているので
テクニカルからみたときに、この下落は一旦は到達感が出てきた。

ここからふたたび200日移動平均線まで調整がかかる可能性もあるが
新規の売りがもう一段の下を狙おうとするかもしれない。

すでに述べているが、株がこのまま下落を進めるようなら
もはやポンドドルには望みは薄くなるが
株が調整の戻りを見せれば
生じてくるのは、またもねじれのユーロポンドの売り、である。

というか、投機のユーロポンドにおけるポンドの買い戻し
とでも言えばいいか。

いずれにしても、株価が戻れば、クロス円をはじめ
ユーロドルももちろん、上値を追い求め出すことになるが

その際の戻り幅が最も大きいと期待されるのが

ユーロポンドの売りから押し上げられることになる、ポンドドルである。

ただし、このシナリオは、
12650アラウンドでいったんグローベックスが折り返せるか否かにある。

すでに時刻はロンドンタイムを終え
パワープレイの軍勢は、グローベックスの続落への叩き落としという
“お遊び”を終えて、撤収していくころとなる。

以降は動意の薄くなる時間帯となるので

グローベックスがここから自律反発できるか
というのが、危ういところとはなるが、

まずは、ポンドドルの終値が、ふたたび1.585アッパーを超えないことには

明日以降はさらなる続落を狙い撃ちされることにだろう。

しかし、本日、株価に戻りが感じられ
ポンドドルが200日線の上を守ったときには、

溺れる子犬は、伝説の狼へと転成する可能性が高まる。

ポンドもそろそろ、
そうした最強の王者として降臨してもらいたいものである。