ユーロドルの長期的な真実!? そしてドル、そしてアメリカ、日本。

ユーロは危機以来、大きな乱高下を繰り返しているが、
ここであらためて、ユーロの地合いを確認しておきたい。

ユーロは大幅な下落によって、対豪ドルや対スイスなど
資源通貨や安全通貨といわれる通貨との相対では
記録的なダウントレンドを描き続けたが、

対ドル、という意味においては
2000年10月につけた、ユーロ導入来の最安値
0.8225を大底とした長期的なアップトレンドは
まだ一度として破ってはいない。

急激な上昇トレンドについては、とうに破られてはいるが、
2001年7月につけた、2番底0.8347が
大底から100pipsあまりしか差がない状態から
アップトレンドの2点目として機能してしまったがために
0.8225と0.8347の2点を結ぶ
緩やかな上昇トレンドラインを描くに至ってしまっている。

この緩やかな上昇トレンドラインは、10年以上経った
今に至るまで、一度たりとも破られてはいない。

その意味で、現在のユーロドルは
長期的に見ると、以前、アップトレンドの状態にある
ということを、まず理解しておかねばならない。

では、このアップトレンドがどのようになれば否定されるのか
というのを考えてみたい。

ユーロドルの上昇は、2001年の半ばから
ほぼ、押し目なしで上昇を描いていった。
そこから次の安値基準は、それから5年近く到来することはなかった。

そして、2005年の11月
1.164あたりで、ようやく一端の安値をつけた。

ここから再度のまくり的な上昇を描き、直近の高値も超えて、
史上最高値まで突き進んだことから、
目下、ユーロドルの長期アップトレンドを否定できる候補となる位置は
1.164割れ、ということになる。

ただ、それでもアップトレンドを破るには至らない。

2012年9月現在で、2001年からの緩やかなアップトレンドを
完全に破ることのできるラインは、1.05割れくらいまでいかねばならないので、
1.164を割れたところで、中期的なダウントレンドは鮮明化されるにしても
アップトレンドを破るには、そこからさらに1000pipsあまり下落しなければならない。

ただ、現時点では、1.164あたりというのは、上昇トレンドの否定の序章となる
重要なラインである。

2010年6月に急激な下げで到達したボトムも
結果としては1.1875で、下げ止まっての反転
今年再発した再度の下落も7月の1.204で下げ止まり
反転を見せて、いまがある。

安値を切り上げながら、高値も切り下げ気味。
テクニカル的に言えば、未だ上昇トレンドを否定しないながらも
巨大な三角持ち合い的なレートも打ち続けている
というのが、ユーロドルの現在である。

いずれにしても
依然として、1.164というのは、2001年からの上昇過程の戻り安値の
重要なポイントであることは変わっていない。

繰り返しとなるが、
ユーロが下落からの反転を開始した2000年以来
長期的な上昇トレンドは一度として否定されてきてはいない。

ただ、2010年のユーロの下落は、
その以前の押しの安値、2008年11月の1.2329を粉砕し
1.1875まで突き進んだことから、
中期的なダウントレンド完成させたという意味で
緩やかな上昇トレンドを粉砕する最大のチャンスだった。
ただ、それでも1.164に届くこともなく、反転した。

その後の上昇反転は。
この最大の下落アタックを、打ち消すほどの勢いを見せた。

ただ、その戻りにおいて、その戻り天井は
その大きな下落で形成されていたところからの
直近高値2009年12月の1.514を超えることができず
2011年5月の1.4939を戻り天井として再度の下落を開始したため
中期のダウントレンドは完全否定には至ってはいない、という状況となった。

そこから話は今年の時間軸の先の話に戻るが、
今年あたりに再開されたその後の下落アタックは、結局、
今年の7月の1.204で下げ止まったことから
中期ダウントレンドの走りも確認できず
とはいえ、1.514への戻りなどもまだまだであることから、
中期ダウントレンドの否定にも至らないという、
大枠ではどっちつかずの中途半端な位置、というのがユーロドルのいまなのだ。

以上からユーロドルを見立てたときに
ユーロドルの長期的な上昇トレンドの完全復帰を確認できるのは、1.514あたりを超えたとき
ユーロの中期的な下落トレンドを確認できるが1.1875あたりを割れたとき
長期的な上昇トレンドを否定する信号が灯るのが、1.164あたりを割れたとき、
長期的な上昇トレンドを完全否定するべく、長期のアップトレンドを割り
長期的なダウントレンドを確定づけるのは、1.05割れあたり、となるだろう。

以上の4択のうち、中間の上下のレンジを取っても値幅は3600〜3800以上ある。
これだけでも変動率は25%ほどにもなり、
レバレッジをかけるなら、上がるとしても下がるとしても
長期的な相場観が当たったとしたとしても、
この変動をもろに浴びればレバレッジ4倍以上ならすべてアウト。
最上限から最下限までの幅なら4500pips以上の値幅となり
その変動率は、30%に近づくほどで
これだと、レバレッジ4倍でも危ない状況となる。

こういう前提から言えることは、
ユーロを長期的な見立てで考えたとき
上がるというのも下がるというのも、個人の主観がものをいうだけで
テクニカル分析としてはほぼ意味をなさないということである。

ときどき、テクニカル分析で長期的な展望を分析する御仁がいるが
私からすれば、以上の意味から、
現在のレートでもって、長期的な上昇や下落をテクニカル的に
分析する行為は、占いのようなもので
かなり意味がない、と言わざるを得ず、
それでも長期的な視点で
テクニカルの要因からユーロドルを“分析”しようとする行為は
ある意味で、テクニカル分析を盲信するカルト的な所行である。

以上から私の長期的な見立ては、テクニカル分析は一切無視している。
現時点ではどちらにいったとしても、その変動の大きさから
ポジションは所持しておくことは、リスク以外のなにものでもないからである。

よって、私のユーロドルの長期的な見立ても
現在のレートから推断するのは、
“占い”に等しいものではあるが、

あえて、相場観を立てるとするならば、
長期的な見立てでのユーロドルの見立ては、
ユーロの暴騰である。

私のいう長期的というのは、いつの時点からは明示できない
漠然としたグランドイメージでの話である。

だから、現時点でのポジションは、
長期の見立てからは矛盾する、ユーロドルのショートである。

短期中期的にはユーロドルのイメージは弱気寄りの中立である。
強気のイメージもあるにはあるが、
いまの上昇には過熱感もあり、いまロングを取るのは
中期的には高値掴みにさらされるように思っている。
だから、ショートであるに過ぎない。

中短期的には目下、ユーロドルショートに賭けている。
1.31を再び超えない限りは、テクニカル的には
ユーロドルのロングという見立ては立てるつもりはない。

長期的にユーロが暴騰するというイメージの根拠は、
ユーロが強いからというわけではない。

その根拠は
まず、ユーロという通貨は決して崩壊しない、という見立てと、
ドルが今後、どこまでも弱くなっていく
という複合的な見立てからそう思っている。

ただ、ユーロが崩壊しないという世界からの承認と
ドルが地の底まで落ちる、という世界からの不信任は
一朝一夕には起こらないだろう。

ユーロ崩壊というフィクションの終了はには時間がかかるだろうし、
ドル崩壊というノンフィクション示現にも時間がかかるだろうからだ。

欧州と米国はとにかくしぶといので、そう簡単に
フィクションは終わらないし、ノンフィクションははじまらない。

ちなみに、ドルの弱さという根拠は
ドルがQE3を行ったから弱くなる、となどは思っていない。
そんなのは短期中期的な見立てで、分析からもある意味では明瞭である。

そんなことをするまでもなく、米国はドルは今後どんどん弱くなる。
米国やドルの弱さは、もっと根本的なものである。

覇権は今後、必ずアメリカ以外に移行していくと思う。

それが中国であるかはわからない。
ロシアであるかもわからない。
特定の覇権国がなくなり、共同的に各国で覇権が成立するかもわからない。

ただ、それが欧州であるとは、思わない。
日本であるなどは、もちろん思わない。

私は神ではないので、現時点で、どかか次の覇権を握るかはわからない。

現時点では、消去法としてアメリカが当面覇権を維持し続ける
という可能性が、やはり最も高いようにも思う。

現在の日中の領土問題など、東アジアの混沌が
またアメリカの地位回復に追い風となっている。
日本はまたぞろ、アメリカ様という期待を高めつつある。

覇権を失いつつあるアメリカには願ったり叶ったりの状況ではある。

しかし、それはややご都合主義的なアメリカの最後の一花のようにしか見えない。
蝋燭は消える瞬間に大きな火を放つというが、
まさにそうした“ゆるやかな下落過程における一時的な戻りの調整”が
アメリカの覇権的な存在感を“幻想的に”際立たせているだけにしか見えない。
こういうときに“素人負け組トレーダー”は、底打ちを考え、アメリカ様ローングっ!
とか逆張りをかけるものだが、
それが戻りどころか再度の下落を招き、大きな塩漬けポジションとなるのは
お約束である。

ここでいう“素人負け組トレーダー”とは、
敗戦後の60年以上、一貫してアメリカ様を崇拝して崇拝して止まなかった、
日本政府、霞ヶ関一同、日本財界、日本大マスコミ、
などの政官財のいつもの面々である。

だから、日本は没落していく、ということを、
こうした方々はいい加減気づいてほしいと本当に思う。
日本はバブル以降に没落したとは思わない。
日本は戦後から一貫して没落し続けている。
もちろん、戦後の復興で日本の富は大いに回復したけれど
それは、日本が戦時〜敗戦で大きく下割れしたものが
バブル経済までの“反転調整”で戻り高値として回復したに過ぎず、
本来の日本の価値は、もっと高い位置に戻ってもよかった。
それが第二次大戦後からの下落トレンドの戻り高値程度にしか
日本が復興しなかった意味をいまいちど、
“奴隷”なのに金があるだけで、ちょっとした発言権があるという地位で
なんとなく世界で復権してみせてきた、という
人類史上稀に見る奇怪な存在であるという意味を
日本の支配階層の皆様には本当に考えてもらいたいものである。
現在の日本を取り巻く諸問題の多くも、
そうしたところに由来しているように思えてならない。
このあたりの話は長くなるので、その詳細はここではもう割愛するけれど…。

ともかく、アメリカの覇権は、どのようにアメリカがあがこうとも
東アジアがどれだけアメリカに“有利”な、きな臭さを醸造しようとも
アメリカの現時点での覇権は時を経るたびに
恣意的なあがきとともにもたらされている暫定的な覇権の色合いを濃くし
その力を徐々に徐々に失っていくことを止めることはできないだろう。

現時点で、私が次の覇権握る国がどこかはわからないが、
次の覇権を確実に握ることがないところだけはわかる。

それは、欧州と日本である。
この二つだけは、次の覇権を握ることはないだろう。

ずいぶん長くなってしまったので、そう思う詳細もここでは割愛する。