夜明けは近いか

現在、ギリシャのユーロ離脱が織り込まれまくっている模様。

ユーロドルは、1.25すらも割り込み、過熱感が満載である。

どれだけ連続で陰線をつければいいか、というほど下がり続けている。
おかげで、こちらは吐き気を覚えるほどに押され続け
結局、ポジションをすべて投げさせられた。

sell the mayの流れにも乗り、
ショート筋ははしゃぎまくり。

もはや、こんなフィーバーに乗る気はさらさらない。

いまはポジションもないので、ポジショントークというわけではないが、
ユーロの下落もそろそろ限界にあるように思う。

その鍵のひとつが、ダウ。

現在、ダウのある種一方的な下落に対して
昨日あたりから上下動はありながらも緩やかな反発が生じている。
下げ基調は終了してはいなくとも、その上下動によって、
短期的な上昇チャネルラインを形成しはじめている。

現在、チャネルライン上でのラインは5回目にさしかかり
この上昇のレンジを上に抜けるか下に抜けるかという局面にある。

上抜けを失敗すれば、反転は失敗と言うことになるが
上抜けに成功すれば、反転のきっかけとなる。


もちろん、再選挙の結果まで、
織り込みのユーロ売りが明けにくい状況にはあるが、

何度も言うように、

私はギリシャがユーロを脱退するとは思っていない。

ここで、あらためて、
なぜ私がギリシャのユーロ離脱がないと思うかを
以下に述べたい。

投資家連中は、世界はすべて金融によって決まる!
と盲信しているようだが、

欧州連合というものは、そもそもが通貨協定ではなく
平和協定であると私は理解している。
彼らが最後に目指す先は欧州連邦、欧州統一政府のようなものである。

その目標達成の過程における手段のひとつが通貨統合ユーロである。

財政がばらばらなのに金融政策は一緒、
などと、いまにはじまったわけではないユーロの“欠点”を
いまの下げ相場に及んで、いまさらながらしたり顔で語り出す
専門家連中がいま多いが、
そうした“欠陥”を、
欧州連合連邦政府となれば解消されるだろう。

ギリシャがいくらろくでなしであろうとも、
一端ユーロに加入したいまとなっては
彼らを財政問題のみで、気軽に脱退させるなら、

現在加盟しているその他国が追随し出てていく、
という問題にとどまらない。

それは、
欧州の恒常的な平和や安定への道を放棄する第一歩を許した
ということを意味する。

現在のユーロ危機について
アメリカや中国、ロシアなどは懸念している素振りだが

それは金の問題での懸念に過ぎず、

それをも押し切り、
デフォルトを選ぶ前にギリシャがユーロを離脱するとするならば

中期的には経済的な損失があったとしても、
長期的に見て、上記、覇権を目指す国々からすれば、望ましいこととなる。

ライバルがひとつ消滅するのだ。

その後、これら国々は欧州に食らわされた損失の数々の借りを
その後、弱体化を選んだ欧州の各国に、何倍返しにもして
欧州全体をメタメタにすることであろう。

世界を混乱させた欧州に報いを、
極限まで味わわせることだろう。

ギリシャ離脱後は、欧州崩壊のチェックメイトである。
未来、ユーロが崩壊の道をたどり、欧州連合がついに崩壊すれば
欧州は混乱に陥り、各国の利害がむき出しとなり
かつての、ばらばらのヨーロッパという世界に回帰するだろう。

そうなれば、欧州というブロックとしての強さや地位は崩壊し、
通貨的にはやたら強いドイツマルクや、
強いフラン、弱いリラやドラクマや、という
ドイツマルクだけは、円のような存在感を示せるとしても、
各国の通貨はマイナーカレンシーとしてちまちましたものとなる。

ただ、唯一のホープ・マルクにしても、
どんどん強くなることから、
ドイツが現在のようなユーロ安に支えられた強さを発揮することはできず
ドイツ経済にとって結果的には打撃を受けることとなろう。

連合でなくなった欧州内部の各国のそうしたせめぎ合いは
もはや経済だけの存在価値で
世界のパワーバランスとしては意味を持たなくなる。

それもまた、覇権を目指す国家としては“慶事”である。

厄介者ギリシャをユーロから追い出せばすむ、という問題ではない。

繰り返すが、欧州連合は、ある意味では平和協定である。
それは第一次大戦、第二次大戦と、愚か国家のように
争いばかり繰り返してきた、反省にも起因する。

ギリシャのわがままは、
後に生じうる、かつての欲望むき出しの時代へと回帰する
災いの発火点ともなり得る。

それであるなら、欧州当局はいまのうちに
武力行使に近い威嚇などを用いてでも、
ギリシャの脱退を阻止するであろう。

それが将来の“彼らが信じる平和への道”であるなら、彼らはそうする。

これはもはや金融の問題ではなく、政治の問題である。

奇しくも、大相場となりつつある5月も来週で終わる。

6月に入り、ギリシャが離脱する、
というヒステリックなまでの予断が覆されたとき
ユーロドルはすさまじい反騰をみせるだろう。

もちろん、それによりギリシャ問題が解決するわけではないので
その後も幾度も不安定な状況にさらされるように思うが、
現在のダウントレンドは反転するように思う。

では、万が一、ギリシャがユーロを離脱する、
という事態になったなら、どうか。

そうであっても、ユーロを下押ししていたノイズが消滅するわけだから、
ギリシャの離脱以降、ユーロのあく抜け感が生じ
ユーロは上昇を見せるように思う。

ただし、その時点で、
欧州の命運は付き、長年積み上げてきた欧州の地位は崩壊し
やがてユーロは消滅するであろう。

どちらにしても、ユーロは6月をめどに上昇するように思うので、
6月はユーロは買いであるように思うが、
ギリシャの結果次第で、
その未来はまったく違ったものとなるように思う。

万が一、ギリシャがユーロを脱退したなら、
今後、どれだけユーロが反転しようとも、
もう二度とユーロのロングは行いたくはない。

ドル安がどうとかいう問題ではなく
やがて消滅する通貨を買うなどと言うことは、到底できない。

ただし、欧州当局が馬鹿でないかぎり、
ユーロ崩壊という“フィクション”を囃し立て、相場をもてあそび
ユーロ安に誘導するという手口は使うとしても、
本当にギリシャを脱退させるという愚は犯すことはないと思う。

しかしながら思うのが、ギリシャが脱退を選ばず、
さまざまな要因の結果として
ユーロがもしも将来、いまとは真逆の完全なるアップトレンドを示現させたとき

ユーロの欠点は金融政策は一緒なのに財政はばらばら、
だからだめ。とか後出しじゃんけん全開でドヤ顔解説していた連中は
どのような解説で誤魔化すのだろうか。