リーマンショック体験から感じる現在との違い

今朝、相場を見ると、ドル円は108.60アッパーまで、ユーロドルは1.0800割れ寸前まで下落していた。

 

やはり、昨日自分が見立てていた通り、ドル円の108.30、ユーロドルの1.0840あたりのターゲットには届いていた。

 

しかし、そこまでポジションを握る握力は自分にはなかったため、仕方ない。

 

 

それはともかく、最近、ここもトレード実践ばかりの備忘録となってしまっているため、久しぶりに雑感を記述したいと思う。

 

自分が為替取引をはじめたのは、2007年あたりで、リーマンショックの起こる少し前の話となる。

 

その間には、ユーロドルの市場最高値1.6到達の瞬間をリアルタイムで見たり、

サブプライム問題からリーマンショックに至るまで、ドル円が100円を割り込んでいくところもリアルタイムで見てきた。

 

リーマン破綻の瞬間の株価や為替の暴落時にもリアルタイムで取引していたが、

そのときと現在で感じる違いを述べてながら、リーマンショックと現在の相場との違いを考えてみたい。

 

現在の下落とリーマンショック破綻の際との下落の違いは、その値動きの安定さである。

 

下落幅はともかく、リーマン破綻のときのレートの動きは数字が飛びまくり、スプレッドも開きまくる感じで、いわばブレグジッドの時のポンド相場のような値動きだったが、当時の値動きの荒さはそれ以上だったように思う。

 

その意味で、このところの株価の暴落やそれに伴う為替の急変動についても、当時よりも値動きが安定しているな、というのがいまの相場の率直な感想である。

 

もちろん、当時はAIなどもほとんどなかったはずで、そのぶん、パニックになった人主導の投げ売りが、レートを飛ばしまくった面もあるように思う。

 

いまはいかなるレートも、AIやアルゴ、個人で言えば自動売買などで、カウンターの売り買いが盛んに行われるため、あらゆるレートに売り手も買い手も存在し、レートが変に飛びにくくなっているのかもしれない(もちろん、AIのおかげで、過去にはなかったような一方向の極端な値動きも起こりやすくなったともいえるが)。

 

また、当時はいまよりインターネットなどの速度や安定度も低かったため、大量の売り買いが殺到するリーマンショックのような局面では、レート遅延などによるレートの値飛びが起こりやすかったのかもしれない。

 

いずれにしても、いまの相場をリーマンショックに例える話は多いが、自分としては、いまの相場はリーマンショックが起こる前からすでに始まっていたサブプライムローン問題の下落過程の頃と似ている、という印象である。

 

当時の相場は、リーマンショックによっていきなり暴落したわけではなく、

その以前のサブプライム問題で下落していた流れのなかで、リーマンショックが決定的なトリガーとなって相場がクラッシュし、相場が暴落した。

 

いかなる暴落もそうだが、どんな暴落も、ある出来事をきっかけに突然落ちるわけではなく、それ以前からじりじり下落していた流れにダメ押しとしてなにかがトリガーとなり下落を加速させるものである。

 

例えば昨日のポンドは1日で600pips暴落するという記録的なものとなったようだが、

これとて、昨日、いきなり暴落が始まったわけではなく、それ以前に6営業日連続で下落しており、昨日の段階で、すでに高値圏から1200pipsほど下落していた。

 

相場の歴史を見ていると、ブラックマンデーだとかリーマンショックだとか1日の下落幅の大きさによって記録的に語られてはいるものの、実際は、それらはほぼすべて、その以前からすでに下落相場はかなり進んでおり、上昇相場がいきなり急変して、これら自体が1日で発生するわけではない。

 

そういう意味で、現在のコロナショックに端を発した下落相場は、リーマンショックの頃で言えば、リーマンショックが発生する前のサブプライム問題での下落過程と重なるイメージであり、

現在の下落相場にダメ押しを与えるような大きな事件がこのあとさらに起こった時が、リーマンショックのときと重なるような事態となるように思う。

 

いまの米株は連日1000ドルだ2000ドルだとか下落し、下落幅だけで比べるとリーマンショック級だとかなんだとか言われるが、

もともと市場最高値を更新し続け29000ドルまでも上昇していた米株の下落率で言えば、ブラックマンデーのそれに劣る。

 

リーマンショックブラックマンデーの日は1日でいずれも20%くらい下落しており、

 

それを現在の米株に当てはめると、

4000〜5000ドルクラスの下落が1日で生じたということである。

 

現在の米株はサーキットブレイカーというものによって、一定の下落率となると取引が停止されるようになっており、当時の下落率を1日で達成することはもはやできなかなってはいるため、厳密に比べることはできないが、

 

では、現在もサーキットブレイカーがなかったなら、米株は1日で4000も5000も落ちていたか、となるとそれもちょっと疑問である。

 

以上から考えて、現在のコロナショックにともなう株価の下落は、記録的な大きさではあるものの、それでもまだ、リーマンショックの頃のようなクライシス的な状況までは至っていない、というのが実感である。

 

当時の自分の記憶に話を戻すが

リーマン破綻が伝えられていた時の為替市場の暴落は、ブレグジッドのポンド下落のレベルではなかった。

 

ドル円で言えば、レートが数十pips単位で下落し、スプレッドも不安定を極め、と思ったらいきなり大きく戻し、また落ちる、というすさまじいレート変動が当時の状況だった。

 

今回のコロナショックが今後リーマンショッククラスのトリガー的事件が発生した、金融市場のさらなる大暴落を引き起こすかどうかはわからない。

 

しかし、1つ言えることは、自分の実感では、現状の相場つきを見る限り、いまの市場がいくら暴落を繰り返しているとはいえ、現時点では、リーマンショックブラックマンデーのようなクライシス的な大暴落といえるまでの事態にはまだ至っていない、ということである。

 

その意味ではいまの暴落局面にトリガーとなる事件を発生させないままこの下落が収束すれば、金融市場はもとのバブルに回帰する可能性も残っているように思う。

 

まあ、実体経済と乖離しまくる、これまでのような金融バブルがまた戻ってくる、というのも、自分としてはいいことだとは全然思わないけれど…。