東京市場を見ていると、我が国の投資教育の誤り(?)に気づかされる
昨夜の108.95からのNY勢のカウンターショート。
これを援用した本日の東京勢は、下値を追いつつも、追いきれず109.80アンダーで反発している。
この動きは、どちらにしても、東京独自のわけのわからない動きである。
どちらにしても、というのは買いでも売りでもという話である。
買いたいのならば、そのまま買い上げ、109.95を突き破り、カウンターで売ってきたNYどもを損切りにさせればいいのである。
しかし、それをせず、売りたいというなら、もとより109.80アンダーあたりでぐずぐずする必要はない。
昨夜、NY勢が下値を守った109.70アッパーも突き破り、買い支えたNY勢のロングを破ればよい。
しかし、下を選びながらも東京勢は109.80は割らない。
かといって、上を攻めても109.95は超えない。
ここで掲題の投資教育の話だが
教科書的な投資本や、カリスマ的なトレーダーなどで一様に語られるのが、利食いのタイミングの話である。
ここでよく語られるのその利食いのタイミングは、
直近高値や直近安値の手前で行え、と言われる。
この利食いラインの我が国特有の王道的な指摘は、本邦の個人投資家のみならず、本邦機関投資家のプロのトレーダーであっても信じているタイミングであるように思う。
我が国の個人投資家の取引量は
世界の巨大投資家群と並べても
その総数として三本の指に入るほどの規模である、ということを聞いたことがある。
ただでさえ、個人投資家の取引総量さえ相当なボリュームなのに、それに加えて本邦機関投資家のそれも加えれば相当なものとなるだろう。
これらの資金パワーが、
一様に直近高値や安値の手前で、ロングやショートの利食いをするとすれば、
まともにトレンドを作ろうとしている、本邦の中でも希少なトレンドフォロー勢力に対しては、身内ながらも強い抵抗になる。
これは以前、東京市場に巣くう裏切りのねずみ男と名付けたことがあるが、
この高安手前でのトレンドフォローわーの抵抗勢力となる、わが国独自の利食い基準にもとづくトレーダーの総体として顕現した裏切りのねずみ男の利食いというアクションによって
東京市場は毎度毎度トレンドを作ることを阻まれる、という結果を生む。
その後、ロンアニどもの餌食となるのは、この教科書的な逆張りディールをするねずみ男ではなく、まとも(?)にトレンドフォローを行おうとしていた希少勢力となる東京勢である。
なぜなら、高安手前で利食いした東京の主要勢力は、その利食いによって、市場からはすでにイグジットしているからである。
東京市場は高安手前での逆張りが効く、とよく言われるが、実際に逆張り的なレート位置で繰り広げられているのは、逆張りの新規エントリーではなく、高安手前での利食いがメインではないかと思っている。
たとえ逆張りの新規エントリーがあったとしても、このエントリーもまた逆側の高安手前で利食いされる。
どちらにしても、東京市場においては、逆張りのポジションは最終的に消え去ることとなり、残るは順張りで突っ込んでいたトレンドフォローの希少東京勢のみとなる。
東京市場で東京勢の主力が講じていることは
こうした高安手前での利食いというカウンターばかりで
これが、結果的に順張りのトレンドフォローの勢いが減退される。
そして、突っ込んで売り買いしていたトレンドフォローの玉は、しばしばその後のロンアニの逆方向の仕掛けの燃料となる損切りを食らうこととなる。
本邦のトレーダーと異なり、ロンアニのみならず、NY勢に至っても、直近高値や安値手前で利食いする、というようなレンジディールはほとんど行っている感じはしない。
そんなことが日常の様に起こる市場ならば、
誰が好き好んで、高安手前で新たな高値買いや安値売りを繰り返す必要があろう。
東京勢がロンアニやNY勢の養分となりたくないならば、高安手前などで利食いすることなどせず、むしろ、高安手前であってもさらに買う、さらに売る、という気概が必要である。
東京勢がそのような欧米勢同様の狩猟民族的な投資行動をとるようになれば
ロンアニとて、市場の流れと明らかに逆行した東京勢を刈るがためだけの投機的な仕掛け買いや売りを講じにくくもなるだろう。
もちろん、東京市場は取引量はロンアニはおろかNY勢にすら及ばないだろうから、
その値幅はロンアニやNYほど取ることはできないだろう。
しかし、少なくとも上記の習い性を行わないだけで、東京市場にも頻繁にトレンドが出ることとなり、
ロンアニも安易に東京勢を踏みあげるといったふざけたトレードを繰り出すことは激減するだろう。
東京勢のトレードがトレンドを自らの意思で作り出す順張り気質である限り、ロンアニの東京勢を刈ろうとするがためだけの仕掛け的な売りや買いは、その効果の大半を失わせることができるからである。
しかし、そうはならないのが、
前段で述べた、利食いは直近高安の手前にすべし、という投資セオリーである。
これが我が国のトレードにおいて常識である限り、そのトレードは欧米基準のトレードにおいては非常識となり、
欧米の常識に引き寄せられるという意味でも
東京勢の“非常識”は、彼らの養分として、欧米の豚どもに食らわれる玉となるのだろうと思う。