円高時のトレーディング

年初より円高が進んでいる。

まあ、これは来るべき時が来たという感じで
さしたる感慨はない。

インチキ丸出しで上り詰めたドル円の上昇。
つまりは円売りの巻き戻しがようやく起こった、というに過ぎない。

で、現下の円高におけるトレーディングだが、
ただ、円を買えば良い、というわけではない。

おかしな表現とはなるが、レートを気にせず、
目をつぶり、ただ円を買うというやりかたならば勝てる可能性はある。

しかし、中途半端にチャートなどを参考にして
戻り売り♪ などすればほぼ負ける可能性が大いに高まる。

もちろん、損切り幅を数百pipsくらいおいてならば話は別だが
デイトレや、ましてやスキャルのような
損切り場が小さい範囲での戻り売りは、まず奏功しないであろう。

なぜ、短期的にチャートをしっかり見て、戻り売りを試みた方が負けるのか。

理由は短期レベルからのチャートフォームにおける戻りは、
戻り売りの好機となる再下落を果たす戻り、というよりも、
にわかショートを粉砕する踏み上げであることの方が多いのだ。


短期的な順張りにわかショート、もしくは戻り売り狙いのショート、

これら安易(?)なトレーディングについては、これらの思惑を見切ったグリード勢(特に米系)が
これら短期トレーダーの思惑に反した損切りを狙った、より大きな円売りを仕掛け、彼らを踏み上げてくるのである。

いくら円高の相場であっても
こうしたグリードたちの仕掛けが入ると
戻りは長くて数週間、短くても数日は続く。

かくして、円高の相場であるにもかかわらず
かつ相場観が正しいにもかかわらず
短期的にドル円やクロス円を戻りから売ろうとするトレーダーは
ことごとく敗北を喫するのである。

ここですぐに危うさに気づき、
ポジションを切るか
むしろ反転させ戻りについていけるなら、
傷は浅いどころか、収益をプラスにできる可能性はある。

しかし、一部のトレーダーは損切りを置かず、含み損を貯めていく。
こうなるとポジションに余裕はなくなり、新規のポジションも取れず、
ただただ含み損の増大を眺めながら、
反転を天に祈るしかなくなる。
しかし、戻りが強烈であればあるほど、含み損に耐え切れず、
結果、ロスカットとなるのである。

では、損切りにかかりポジションスクエアになればいいかとなると、
それも危うい。

相場感が円高のままであれば、どこかでまた売り仕掛けをし、その度に刈られ、
損切り貧乏と化す。

こうした素人の生き血をすすりグリードはまた肥え太るのである。

こうしたホラー(?)な好例になりかねないのが、
まさに昨日、本日の相場である。
昨日は怒濤の円高が続き、ついには116円を割った。
しかしそこから反転。

夜半、再度の下落を試すも、今度は116さえ切れずに再び戻しての朝である。

本日の東京は恒例のニワトリトレードで117.47あたりまで追随してきた。
しかし、途中で失速。
日経が大きく下落し株価の下落に合わせ、ドル円はこきら116.5アンダーまで下落した。

しかし、ここで違和感がある。
日経は安値を更新しながら、
ドル円は116を割るどころか、116.5あたりで踏ん張る。

しかし、戻りをかける最中にはそれはわからない。

117.20-40あたりからの下落でショートである。
典型的な戻り売りの好機、に見えるからだ。

東京勢での戻り売り志願者は、
ベストで117.4、悪くても117.2あたりで戻り売りができたはずだ。

しかし、その下落が116.5あたりで止まるところで違和感を感じなければならない。

ここで利食いなり、
117アンダーからのにわかショートの撤退なりをした方々はお上手である。

しかし、多くがそれをしなかったのだろう。

案の定ここでまず、欧州勢のストップ刈りが入る。

狙いは117アンダーで順張りの売りをかけてきたにわかショートを潰し、117アッパーからのショート勢も撤退させる。

一気に117円まで戻したことが、多くが刈られた証である。

そして、いまに至る。

順張りのにわかショートはやられたが、まだ117.2や117.4あたりの戻り売り勢は損失にはなってない。

ここで止まっている人がいるとするなら、116円代で含み損をかかえるにわかショート、
117.20アッパーでわずか含み益をかかえる戻り売りショート勢である。

では、ここまでの流れをどう見るか。

戻り売り勢のうち
東京時間の15時あたりまでで
小さな戻り売り(といっても1円近くだが)の下落の時間だけ
トレードし、即利食いをして撤収いるならば勝てているだろう。

しかし、117.4あたりでショートを決めたあと
ほったらかしにして、中期的な円高感でホールドするのは
危険である。

東京時間の117.4あたりを戻りの好機ととらえ
そこでショート。そこからの下落を眺め
しめしめ下落してきた、と思っている方々は非常に危険である。

このまま再び116を割り、115アンダーの世界に進めば、
中期ポジションの構築はなる。

ただ、当分それは見込めないように思う。

そもそも115円から下に走れば、数円級のバジェットが稼げる。

しかし、そんな相場で東京市場の戻り、
しかも滞空のわかりやすい117.4あたりからの戻り売りで
それが実現できるのか、

むしろ、117.4あたりからの下落は
逆から見れば
踏み上げを狙う連中からすれば
わかりやすいくらいの状況にある。
つまり、117円より下には大量のにわかショートがあることはわかっている。
売りに追随するより、そこにショートカバーを掛ける方がわかりやすく跳ねる。

これらを一掃されなければドル円の再度の下落は可能性として低い。

これが、円高相場で円買いが正しいにもかかわらず
短期レベルで円買いを行うと大きくまける理由である。

117円より下で売り始めたにわかショートを粉砕しきるラインはどのあたりか。

現在、考えられるのは、もし120円近くまで戻れば
多くのにわかショート勢は、さすがにポジションを投げるであろう。

このあたりなら、提灯ショートはほぼいなくなり、
その段で、相場が確かに円安相場に転換していないなら、
上昇の威力(損切り)もほぼなくなってくることから、
仕掛けのなくなった、自然な流れでの再度の下落も起こりうる。

では、120円のそばで戻り売りショートをすればよいか、というと、それも違う。

そこも抜けるかもしれないのだから、一か八かで逆張りするならともかく、
戻りを確認してからでないと危ない。

流れは相場を見なければならないのである。

見なければならない、と言っても、見てもここぞという箇所でポジションを取るのはほぼ不可能ではある。

なぜなら、戻りからの再びの下落再開は
突然数十銭、ことによれば一円レベルの大きな下げから再開されるからだ。

その時間はほぼ目視での対応は不可能なレベルで高速で行われ
気づけば下落が再開されている。

それを確認するために相場を見なければならないのである。

ずっとチャートを見ていれば、その瞬間に飛び乗れる可能性はあるが、
それでも数十銭は後になるだろう。

相場から目を離しでもしているなら、もう5分後にはレートは遥か下に落ちているだろう。

ただ、ここからがようやくの戻りの再開である。

人間の反射神経速度で、そこからショートに乗れたとしても、その時には
戻りの高値はかなり上の方にあり、
損切りを置くならかなり遠くに置かねばならなくなっていることだろう。

しかしトレンドに乗るならばそれを覚悟せねばならない。

さらにチャートを見逃していた人については、
さらに遠くの損切りを覚悟せねばならない。

損小利大などとはいうが、

デイトレ〜スイング級以上の相場の流れに乗るためには、損切り幅を小さくはできない。

大利大。

こうしたスタンスであたらねば、FXにおいて大きな利益は取れない。

ちなみに長期スタンスであれば、
いまの時期、どこで円買いのポジションを取っても構わないとは思う。

結局、ドル円は奈落の底に落ちるであろうから。

ただし、損切り幅は、最低でも5円以上、ことによれば10円くらい先まで置かねばならない。

現在のレート117円としたら
最低でも124円、より堅実には126円あたり
7〜9円くらいの損切りくらいは耐えたい。

そんな大きくとって意味あるのか、
という話で言えば、

今年105円まで下落すれば、
いまからでも利益幅は12円である。

リスクリワードはプラスである。

ちなみに、個人的には105円は通過点とすら思っている。