幻通貨大躍進で、今後の注目はユーロ円か!?

先週のドル円の上昇には一部、驚きの声が上がっているようだ。

もともとドルストレートのドル売りや
消去法の円買いなどで、デッドロックになりがちで
主体的なチャート生成を行わない、幻通貨の大エース・ドル円が、
独自に躍進をしまくっている(ように見える)のだから、
当然と言えば当然か。

ただ、これが独自かと言えば、
自身の感想として、所詮、幻通貨である見解は変わらない。

現在、市場はユーロを強烈に売りたい。
そこでユーロドルの相対でドルが買われる。
では、ユーロ円でもユーロを売るかといえば、
ドル円のドル買いの相対からの円売りに押され
ユーロ円ベースでは、円を買いにくい。

これまで、ドル売り、ユーロ売りで、ともに買われ続けた円は
いまドル買い、ただしユーロ売りは勢い鈍化流れのなかで
円売りの圧力増加が起こり始めている。

ただ、いまのドル円の上昇は、
まだ円売りからは派生しているとは言い切れない。

ただ、この気配が円売りの流れへと派生したとき
ドル買いという流れには転換が起こるように思う。

ややこしい話だが、ドル買いがドル売りに転換するという話ではなく
ユーロドルにおける、ドル買いという強い地合いが弱まるように思うのだ。

そうなると、ドル買い→円売り→ドル買いの弱まり、ユーロ売りの弱まり
という流れが起こってくれば

その結果として導かれるのは、ユーロ円の上昇である。

ユーロ円の上昇は、派生する対円からクロス円の上昇にも導かれやすい。

どれもが先週の地合いで値固めをしてしまい
結構、高いところとなってきて、いまさら買いに入りにくいが

ユーロ円を筆頭として、クロス円が今後続伸する可能性が高まっている。

そうなると、円独歩安が起こり、
円売りフィーバーが起これば、ドルが上昇するか、というとそうではなくて
ドルも売られはじめるなかで、ドル円のみは鈍化しがちとなる。

ドル円は元来、EUR/USD GBP/USD AUD/USDなどなど、
ドルストレート通貨のグループとは別のロジックで動いていると感じており
円売りはすなわち、ドル買いにはつながらない。
それは、円(日本)がドル(米国)の属国であるという政治的意味に由来しており
ドル円という通貨ペアは、
結局のところドルドルと言ってもいい通貨ペアだからである。

日本は独自の経済成長を見せているようで、いつもアメリカの後追いである。
ゆえにどれだけ大きくなろうとも、決してアメリカの経済規模を抜き去ることはない。
それは人口の問題ではない。日本の人口がアメリカと同数いたとしてもそれは同じである。
それは、日本が経済成長をしてもその富の多くはいつもアメリカに献上されるからだ。
まるでゼロサムゲームような二国間の関係性がアメリカと日本である。
だから、円という通貨は実はあまり意味はなくて
日本の流通通貨は、実はドルであっても問題はないと思っている。

ただ、日本で独自通貨を持ち、円が流通する必要もある。
それはドルをファイナンスするための犠牲通貨としてである。
円の強さや信用は、ドルの弱さを際立たせる意味ではなく
下落を止めないドルであっても信用がおけるという経済的な保証である。
米国の強さによって軍事的な強さはファイナンスされても
現在の米国には経済的な強さをファイナンスする根拠はない。
それがニアイコール・ドルである円が存在することでファイナンスされている。

もしも日本の流通通貨がドルであったなら
ドルの価値はいまよりももっと低いものあったはずで
ユーロドルでいえば、とっくにパリティどころか、
1ユーロ2ドル(すなわち EUR/USD=2)とかなっても全然おかしくはないであろう。

いわば円は、ドルというクズ通貨における連帯保証人のようなものだ。

プラザ合意以降の長期ドル安トレンドにあってドル円も下落してきたが
それは実は円が強くなったのではなく、
円がドルそのものであることから、下落してきただけだと思っている。

何度も言うが、ドル円は、ドルドルに等しいのだ。

そういう意味で考えると、
世界最低の無策愚鈍な中央銀行・日銀についても、理解がしやすい。
日銀はなにもしないのではない。なにもできないのである。
ドルに等しい円が独自の動きをすることなど許されない。

通貨の番人は中央銀行であるが、
円の通貨の番人は日本銀行ではなく、米国である。
円が独自の動きをすると言うことは、
ニアイコール・ドル(USD/JPY≒USD/USD)であるという存在価値から矛盾する。
もとより、日銀のつとめは、通貨を観察するということだけが許される
単なる観察機関であり、何もする必要がない。というか、してはならない。
ときどき、インフレターゲットを1%とか、なにも意味がないことを
もっともらしくやって、なにかをやっているように見せながらも
結局、何もしないことが、
アメリカにとっては立派に仕事をしていることになっているのである。

無策の“策”、これこそが日銀のメゾンデートルである。

日銀の連中は馬鹿ではない。むしろ賢い。
だからこそ、アメリカの要望に忠実に無策を貫いている。

しかし、日銀のそうした態度は、アメリカの国益とはなっても
日本の国益とはならない。
それを承知で日銀は無策を突き進む。
だから、私は彼らを罰してほしいと思っているのである。
彼らの行為は、米国にとっては報償ものの大貢献だが
日本にとっては国家反逆罪級の“犯罪”である。

それでも彼らはアメリカに忠誠を尽くす。
結局、日本に反逆するよりも、
アメリカに反逆する方がはるかに恐ろしいからだろう。

日銀はアメリカに忠実に職務を遂行している(無策という策によって)。
だから、それに越権するような日本政府や財務省の行為(為替介入など)を
米国当局は批判する。
あーあ…と、日銀はいつもひやひやする。
アメリカ様の顔色をうかがわないからだよ…と思っているかのようだ。
だから、彼らは最低最悪だと私は思っている。

現在の日本経済の長期低迷には多くの原因が論じられる。
少子高齢化だとか、政治の無能とか、規制の多さだとか
もちろん、それらにもいくらかの原因もあろうが、
実は最大の原因は日銀だとすら私は思っている。

日銀は、自身こそがまったく関係がない、というような主張をし
前段の各要因を複合的に語ろうとするが、
実は日銀こそが、日本経済不振の最大の戦犯である、と
私は長年に亘って信じている。

結局のところ、米国の基本方針はドル安である。
がゆえに、ドル円がこのまま上昇し続けることには自ずと限界がある。
円安相場はやがて円安ドル安相場へと導かれていくように思う。

ただ、クロス円はそうではない。

今後、誤ってはならないのは、クロス円が上昇したからと言って
ドル円が上昇する、というわけではないというところでる。

もちろん、強烈な円独歩安が来れば、
クロス円の相対で円が売られることからドル円も上昇を見せるだろうが
それは結果論である。

ドル円はドルストレート通貨ではない。
クロス通貨であるユーロ円やポンド円とドルストレート通貨との合成から割り出される
クロス・クロス通貨に等しい。

だから、クロス円の上昇により、クロスクロス通貨であるドル円の上昇を見込み
そういうタイミングでドル円を買うのはありかもしれないが、
ゆめゆめドル円の独自の上昇などとは思ってはならない。
受け身丸出しの上昇にすぎない、ということを常に意識せねばならない。

こうした主体性のなさは、日本がアメリカの属国を脱しない限り
半永久的に逃れることはできない、日本の宿痾である。

公式に、日本はアメリカの属国だとは口が裂けても言わない。

しかし、国際社会が深化し
あらゆる地域と関係を構築しなければならない今日にあって
世界に向けて重要な役割を担える経済的体力をまだまだ有している日本が
世界で唯一、同盟を結んでいる国家がアメリカのみである
という変態性に、そろそろ日本人一人一人も気づかねばならない。

そして、その唯一の同盟国は、世界で唯一原爆を投下した非道な国家であり
そして、それをなされた国が日本であり、アメリカという国家は
かつて、その先に日本の国家破滅寸前まで追い込もうとした国であり
我が国にとってはむしろ最も警戒せねばならない国家であるにもかかわらず、
世界の中でその国家とのみ同盟を結んでいる(結ばされている)、
という世界でもなかなかお目にかかれないという
異常性にいい加減、気づくべきである。

ともかく、そんなゆがんだ関係を前提とするドル円という
哀れきわまりない通貨ペアには、
まったくもって興味はない。